楊難当

楊難当（よう なんとう）

楊難当は、五胡十六国時代の後仇池の第5代君主です。父は第2代君主の楊盛、兄は第3代君主の楊玄。子に楊和、楊虎、楊順がおり、孫には楊大眼がいます。

略歴

405年、父・楊盛が後秦との戦いで大敗を喫した際、人質として差し出されました。429年に兄・楊玄が死去し、その子の楊保宗が跡を継ぐと、楊難当はすぐに謀反を起こして甥を廃し、自ら君主の座につきました。即位後、南朝宋に服属しました。

432年には後仇池で飢饉が発生。同時期に南朝宋で司馬飛龍の乱が起こると、これに乗じて梁州北部を攻撃し、漢中を占領しました。しかし、南朝宋の蕭思話の反撃を受け、434年には謝罪して再度南朝宋に服属しました。

先に廃された楊保宗は、432年に楊難当に反乱を起こしましたが失敗し、捕らえられました。435年には赦免されて董亭に鎮しましたが、後に兄の楊保顕と共に北魏へ亡命しました。

436年3月、楊難当は「建義」という独自の年号を建て、自らを大秦王、妻を王后、世子の楊和を太子として、本格的に自立。南北朝のどちらにも属さない完全な独立国としての体制を敷きました。仇池が完全な独立体制を確立し、独自の年号を持ったのはこの時だけでした。

楊難当は北魏の上邽を攻撃しますが、北魏は先に亡命していた楊保宗を使ってこれを防がせました。440年、楊難当は旱魃と災害を理由に、王号を大秦王から武都王に戻しました。441年には南朝宋の益州北部を攻撃しましたが撃退され、追いつめられた楊難当は、442年閏5月に仇池を放棄して北魏に亡命。これにより、後仇池は滅亡しました。

参考文献

* 三崎良章『五胡十六国 中国史上の民族大移動』東方書店、2002年2月。

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