司馬覃

司馬覃（しば たん）：西晋の皇太子、その波乱の生涯

司馬覃（295年 - 308年）は、西晋時代の皇太子であり、清河王司馬遐の長男として生まれました。彼の生涯は、西晋の政争に翻弄され、皇太子という地位にありながらも、安定とは程遠いものでした。

生涯

300年、父である司馬遐の死後、司馬覃は清河王の地位を継承しました。302年、皇太孫司馬尚が亡くなると、恵帝には後継者がいなくなってしまいます。当時、朝政を主導していた斉王司馬冏は、わずか8歳であった司馬覃を後継者として推挙しました。これにより、司馬覃は皇太子に立てられ、司馬冏がその養育を担当することになりました。

しかし、304年になると、河間王司馬顒が成都王司馬穎を皇太弟に立てるよう上表したため、司馬覃は皇太子の地位を廃され、再び清河王に戻されました。同年7月、東海王司馬越が司馬穎討伐を掲げて挙兵すると、恵帝を擁して司馬穎の本拠地である鄴へ軍を進めました。この際、司馬覃は再び皇太子に復位しました。ところが、皇帝軍は石超の奇襲によって大敗を喫し、恵帝が捕らわれるという事態に陥ります。

洛陽では、上官巳らが司馬覃を奉じて cityを固守しましたが、司馬顒は張方に洛陽占拠を命じました。上官巳は張方を阻もうとしましたが敗北。司馬覃は上官巳を妬み、張方を洛陽城内に迎え入れました。その後、張方によって再び廃位されるという、目まぐるしい状況が続きます。

司馬顒は司馬穎を廃し、豫章王司馬熾（後の懐帝）を皇太弟に立てました。306年、恵帝が崩御すると、皇后羊献容は司馬熾ではなく司馬覃を皇帝に擁立しようとしましたが、司馬覃が異変を察知して引き返したため、失敗に終わりました。そして、司馬熾が懐帝として即位しました。

307年、司馬覃を再び皇太子に立てようとする動きがありましたが、太傅司馬越によって退けられました。同年12月には、司馬覃を皇太子に立てようとする計画が事前に発覚し、司馬越は司馬覃を金墉城に幽閉しました。

308年2月、司馬覃は司馬越によって殺害されました。享年14歳。庶民の礼で葬られたと伝えられています。

逸話

司馬覃が清河王の世子となった際、金鈴を身に着けていたところ、それが麻粟のように隆起してきました。占い師は、金は晋の大興の兆しであり、司馬覃が皇胤となる瑞祥であると述べましたが、祖母の陳太妃はこれを不吉であるとして、壊して売り払ってしまったといいます。

司馬覃の生涯は、西晋の混乱期における皇位継承争いの犠牲となった、悲劇的な皇太子の物語として、歴史に刻まれています。

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