司馬穎

司馬穎（しば えい）

司馬穎（279年 - 306年）は、西晋時代の皇族であり、「八王の乱」と呼ばれる内乱における主要人物の一人です。武帝・司馬炎の第19子として生まれ、恵帝・司馬衷の異母弟にあたります。字は章度。

生涯

若き日

司馬穎は学問を好まず、聡明さには欠けていましたが、人情に厚い人物だったと伝えられています。289年に成都王に封じられ、広大な領地を与えられました。その後、越騎校尉などの官職を歴任しました。

当時、朝廷では恵帝の皇后・賈南風の一派が権勢を振るっており、司馬穎は賈氏一派と対立したことから、地方へ追いやられました。

司馬倫打倒の功績

301年、趙王・司馬倫が帝位を簒奪すると、司馬穎は斉王・司馬冏の挙兵に呼応して兵を挙げました。司馬倫軍を破り洛陽を制圧。

司馬倫の簒奪を阻止した功績により、司馬穎は朝廷で重きをなすようになります。

権勢と失脚

司馬倫討伐後、司馬穎は異母兄である司馬乂（あい）に政治の実権を任されると次第に傲慢になり専横を振る舞うようになります。恵帝の皇后を廃し、皇太子を廃位するなど、その権勢を誇示しました。司馬顒（よう）と結託し、政敵を排除。

しかし、その専横的な振る舞いに対して、各地の諸侯が反旗を翻し、「八王の乱」が激化します。司馬穎は王浚や司馬騰らの攻撃を受け、配下の劉淵の独立を招いたことで司馬顒からも見限られ失脚しました。

晩年と最期

失脚後も、司馬穎は河北地方で依然として民衆の支持を集めていました。旧臣らに担ぎ上げられて反乱を企てましたが失敗。

306年、司馬穎は捕らえられ、鄴で処刑されました。享年28歳。

司馬穎の死後、その旧臣たちは司馬穎の復讐を名目に再び反乱を起こし、西晋の混乱はさらに深まりました。

人物

司馬穎は、人情に厚い一方で、政治的な判断力に欠ける面があったと評されています。また、権力を握ると傲慢になり、奢侈に溺れるなど、為政者としての資質に疑問を呈する評価もあります。

八王の乱における役割

司馬穎は、「八王の乱」において重要な役割を果たしました。司馬倫打倒の功績により権力を掌握しましたが、その後の専横的な振る舞いが内乱を激化させる一因となりました。司馬穎の失脚と死は、西晋の衰退を加速させる出来事となりました。

子女

廬江王 司馬普
中都王 司馬廓
* 華容王 司馬遵（養子）

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