吉川輝昭

吉川 輝昭（よしかわ てるあき）

佐賀県唐津市出身、1981年11月13日生まれの元プロ野球選手。ポジションは投手で、右投げ右打ち。恵まれた体格から繰り出す力強いボールを武器に、プロとして実働9シーズンを過ごした。

アマチュア時代

地元の厳木高校では、1年生の夏から早くもチームの一員としてベンチ入りを果たし、2年生の秋にはエースの座を掴んだ。彼の活躍もあり、チームは44年ぶりとなる九州大会出場を果たす。3年夏の佐賀県大会では、チームをベスト4まで導く奮闘を見せた。

高校卒業後、日本文理大学に進学。野球部では中心選手として成長し、2003年には第52回全日本大学野球選手権大会で、チーム史上初となる全国制覇の立役者となった。この大会での活躍が評価され、最優秀投手賞を獲得。さらに、同年の第32回日米大学野球選手権大会では日本代表にも選ばれた。大学時代の同期には、後にプロでも活躍する脇谷亮太がいた。

プロ入り

大学での輝かしい実績を引っ提げ、プロ野球の世界へ。2003年のドラフト会議を前に、横浜ベイスターズが自由獲得枠での入団を決定。同年10月30日に球団との合意が発表され、11月19日のドラフト会議を経て、12月1日には契約金1億円に出来高払い5000万円、そして年俸1500万円という好条件で正式契約を結んだ。背番号は「12」に決まった。

横浜ベイスターズ時代（2004年 - 2010年途中）

プロ入り後初のキャンプでは、体重が100kgを超えるなど体調管理に課題が見られ、コーチから厳しい指導を受ける場面もあった。しかし、開幕後間もない2004年4月7日、横浜スタジアムでの阪神タイガース戦でプロ初登板を記録。さらに同年6月2日、広島市民球場で行われた広島東洋カープ戦ではプロ入り後初の先発マウンドに上がり、6回を投げ抜いてプロ初勝利を手にした。この年はシーズンを通して一軍に帯同し、24試合に登板するまずまずのスタートを切った。

前年の活躍を受けて、2005年は開幕から先発ローテーションの一角を担った。しかし、先発機会はわずか3試合に留まり、シーズン途中で中継ぎへと配置転換された。中継ぎとしても投球内容は安定せず、防御率が8点台を超えるなど苦しいシーズンとなった。2006年、2007年は一軍での登板機会が激減し、それぞれわずか2試合の登板にとどまった。

巻き返しを図った2008年、シーズン終盤の9月に一軍へ昇格。10月6日の広島戦では、実に約2年ぶりとなる先発登板を果たし、7回1失点と好投してチームの勝利に貢献した。しかし、2009年はシーズン初先発となった8月9日の中日ドラゴンズ戦で敗戦投手となり、この年は一軍で未勝利に終わった。そして、2010年シーズン中にチームを離れることとなる。二軍での調整が続いていた4月20日、井手正太郎との交換トレードで福岡ソフトバンクホークスへの移籍が発表された。ソフトバンクでの背番号は「00」となった。

福岡ソフトバンクホークス時代（2010年途中 - 2012年）

新天地ソフトバンクでは、2011年に中継ぎ投手として開幕一軍を迎えた。当初は主に敗戦処理として登板していたが、そこで安定した投球を見せ続けたことで、首脳陣からの信頼を徐々に獲得。点差が開いた状況など、比較的プレッシャーの少ない場面での登板機会が増えていった。チームのブルペン事情が苦しい中で、最終的に40試合に登板。37回1/3を投げ、6ホールド、防御率2.41、WHIP0.83という自己最高の成績を記録し、中継ぎとしてチームに貢献した。この年のオフには、翌シーズンから先発への転向が予定されていた。

しかし、2012年は前年の先発転向計画がありながらも、チームの補強状況とリリーフ陣の層が薄くなった事情により、再び中継ぎとしてシーズンをスタートさせた。だが、前年とは異なり投球が安定せず、中継ぎや時には先発として登板するも打ち込まれるケースが目立った。結果として一軍と二軍を行き来するシーズンとなり、一軍では25試合に登板して0勝1敗、防御率5.29という成績に終わった。同年11月、神内靖、多村仁志とともに、山本省吾、江尻慎太郎、吉村裕基との大型トレードによって、かつて所属した横浜DeNAベイスターズへの復帰が決まった。

横浜DeNAベイスターズ時代（復帰）（2013年）

古巣への復帰会見は2012年11月21日に行われ、新たな背番号は「13」に決定。年俸はソフトバンク時代と同額の2200万円での契約となった。

復帰初年度の2013年、開幕戦となる3月29日の中日ドラゴンズ戦に2番手として登板。この試合で勝利投手となり、実に2004年6月2日以来、9年ぶりとなる白星を挙げた。しかし、その後は再び投球内容が不安定になる試合が多く、特にヤクルトのウラディミール・バレンティンには3打数で3本塁打を打たれるなど、打ち込まれる場面が散見された。このシーズンは21試合に登板し、2勝2敗、防御率7.43という成績で終了。同年10月29日、球団から戦力外通告を受けた。現役続行を目指し12球団合同トライアウトに参加したが、獲得を表明する球団は現れず、この年限りで現役生活にピリオスを打った。

選手としての特徴と引退後

現役時代は、恵まれた体格を活かした力で押す投球スタイルを持ち味としていた。最速150km/hを計測するストレートに加えて、スライダー、シュート、フォークなどの変化球を駆使した。幼少期からの憧れの選手は秋山幸二であり、2010年に彼の監督するソフトバンクへ移籍が決まった際には、「一緒にプレーできるのは夢のよう」と喜びを語っていた。

現役引退後、2016年2月2日には学生野球資格を回復。2018年7月1日からは、母校である日本文理大学硬式野球部のピッチングコーチとして、後進の指導にあたっている。

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