吉田宗雄

吉田宗雄（よしだ むねお）

1912年（大正元年）10月10日に生まれ、1944年（昭和19年）12月30日に没した日本の海軍軍人。最終階級は戦死による特進で海軍中佐に上った。佐賀県小城郡牛津町（現在の小城市の一部）の出身である。

佐賀県に生まれた吉田宗雄は、禅林寺の長男として育った。地元の旧制小城中学校（現在の佐賀県立小城高等学校）を卒業した後、海軍兵学校への道を選んだ。1931年（昭和6年）、海軍兵学校第62期生として入学。厳しい訓練と教育を経て、1934年（昭和9年）11月に同校を卒業し、少尉候補生として最初の任官を果たした。

海軍少尉候補生となった吉田は、まず装甲巡洋艦「八雲」に乗組むことになった。これは遠洋航海の訓練なども兼ねたものと思われる。その後、1935年（昭和10年）7月には航空母艦「鳳翔」に乗組。多様な艦種を経験する海軍士官としてのキャリアがここから始まった。

1936年（昭和11年）4月1日には海軍少尉に任官。重巡洋艦「愛宕」乗組を経て、同年12月1日には駆逐艦「夕風」に乗組んだ。駆逐艦は水雷兵装が重視される艦種であり、後の水雷長としての経験に繋がる第一歩だったかもしれない。

陸上勤務も経験しており、1937年（昭和12年）7月18日には横須賀鎮守府第一特別陸戦隊付となっている。これは中国大陸における戦況に対応するため、陸戦隊が拡充されていた時期にあたる。同年12月1日には海軍中尉に昇進し、潜水艦「伊号第59」に乗組んだ。さらに1938年（昭和13年）3月28日には別の潜水艦「呂号第63」に乗組むなど、潜水艦部隊での経験も積んだ。

その後、1938年（昭和13年）12月15日には第16号掃海艇に乗組。掃海艇は機雷の掃討などを任務とする艦艇であり、ここでもまた異なる分野の知識と経験を得た。1939年（昭和14年）10月20日には潜水母艦「駒橋」の分隊長に補された。同年11月15日には海軍大尉に昇進している。

太平洋戦争開戦が迫る中、1940年（昭和15年）12月10日には駆逐艦「神風」の水雷長兼分隊長に就任。駆逐艦の主兵装である水雷の専門家としての役割を担うことになった。

戦局が拡大する中、吉田は中国方面での勤務も経験した。1941年（昭和16年）9月20日には漢口方面特別根拠地付となり、1942年（昭和17年）1月10日からは漢口警備隊分隊長を務めるとともに、砲艦「隅田」および「熱海」の艦長代理を兼任した。内河における警備や輸送の任務に携わったものと推測される。

1943年（昭和18年）1月15日には第24特別根拠地隊付となり、同年1月27日には水雷艇「友鶴」の艇長に補された。「友鶴」は小型ながら雷装を持つ艇であり、艇長として指揮を執る経験を積んだ。

国内に戻った後、1943年（昭和18年）10月20日には横須賀鎮守府付となり、同年11月5日には海軍機雷学校高等科学生として、機雷に関するより高度な専門知識を習得することになった。これは、その後の駆逐艦艦長としての任務に備えるものだったかもしれない。

1944年（昭和19年）3月10日、吉田宗雄は駆逐艦「呉竹」の艦長に着任した。太平洋戦争末期にあたり、海上輸送の護衛などが重要な任務となっていた時期である。同年5月10日には海軍少佐に昇進。艦長として日々激化する戦場を航海した。

そして、1944年（昭和19年）12月30日、吉田が艦長を務める駆逐艦「呉竹」は、ルソン島と台湾の間のバシー海峡を航行中に、アメリカ海軍の潜水艦「レザーバック」による魚雷攻撃を受けた。「呉竹」は被雷し、沈没。吉田宗雄は艦と運命を共にし、この戦いで戦死した。享年32歳であった。その功績に対し、死後、海軍中佐に特進された。

吉田宗雄の生涯は短かったが、海軍兵学校を卒業後、装甲巡洋艦、空母、重巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、掃海艇、潜水母艦、水雷艇、砲艦といった多岐にわたる艦種に乗組み、陸上部隊での勤務や、艦長、水雷長、分隊長、艇長といった多様な役職を経験した。さらに専門学校での学習も経ており、まさに日本海軍士官としての幅広いキャリアを積んだ人物であったと言える。彼の戦死は、太平洋戦争における多くの若い命の犠牲の一つであった。

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