吉田操子

吉田操子

吉田操子（よしだ みさこ、1881年9月21日 - 1944年11月26日）は、明治時代から昭和時代にかけて活躍した囲碁棋士です。京都に生まれ、本因坊秀栄の門下となり、七段まで昇段しました。旧姓は井上。

経歴

囲碁好きの両親の影響で11歳から囲碁を始め、16歳頃には大阪の豪商である田中市兵衛や殿村平右衛門の支援を受け、泉秀節、大塚亀太郎、高崎泰策らに師事しました。18歳の時に方円社から初段を授与されます。その後、頭山満の支援を受けて上京し、本因坊秀栄や本因坊秀哉らに師事し、1906年には秀栄と方円社から同時に二段を受けました。

その後、玄洋社に関わりのあった法学士の吉田久太郎と結婚し、各地を転々としながら一時的に囲碁界から離れますが、1915年に本因坊家、井上家、方円社から同時に三段を受け、1921年には同じく三者から四段を受けて京都に落ち着き、囲碁界に復帰しました。

1923年には京都寂光寺で本因坊算砂300年祭の記念囲碁大会が開催され、棋士80名、来場者700名を数える盛況ぶりでしたが、これは吉田操子の尽力によるものとされています。1924年の日本棋院設立の際には、関西囲碁研究会の幹事として、井上家の日本棋院不参加によって混乱した関西囲碁界の調整に尽力し、その後は日本棋院関西支部評議員および京都研究会幹事となりました。

晩年は、京都の自宅を「吉田塾」として開放し、後進の育成に力を注ぎました。弟子には藤田梧郎、塩見鈴子らがいます。主宰した京都囲碁研究会は、神戸の久保松勝喜代、大阪の光原伊太郎とともに、関西囲碁界の柱となり、昭和初期には高川格もここで学びました。1929年には、本因坊算砂の建碑式を挙行し、本因坊秀哉ら多くの棋士が参加しました。1930年には、塩見鈴子の入段祝賀会に秀哉、鈴木為次郎、瀬越憲作、木谷實、呉清源らを招待しました。

1931年の東西対抗女流碁戦では西軍の主将として出場しました。1938年に五段、1944年に六段に昇段。同年、京大病院で亡くなり、死後、七段を追贈されました。早碁を得意とし、また酒、義太夫、競馬と多芸多趣味であったことでも知られています。

著作物

「御早逝を悼みて」『四十九年 : 故塩野長次郎追懐録』堀内佐太郎（編）、西宮：堀内佐太郎、1933年、150-152頁
「京都棋壇の面目稍や革る」『囲棋クラブ』第16巻第3号、71-72頁、1940年3月、東京：日本棋院
「哀悼錄」『機山遺譜』木谷実 等（編）、12-15頁、神戸：機山会、1942年
「小川先生のこと」『囲棋クラブ』、第18巻第1号、18-20頁、日本棋院 、1942年1月
「"活"と"死"」『囲棋クラブ』第18巻第9号、34-43頁、日本棋院、1942年9月
「"活"と"死"」『囲棋クラブ』第18巻第10号、39-47頁、同、1942年10月
「"活"と"死"」『囲棋クラブ』第18巻第12号、34-40頁、同、1942年12月

参考文献

明治大正昭和新聞研究会（編集製作） 編「十一月二八日吉田操子女史」『新聞集成昭和編年史 昭和19年版』V、新聞資料出版、1996年11月、536頁

関連文献

野上彰「第十章 実戦詳解：五子第三局 吉田操子四段――根来堅」『初学囲碁講座 下巻』、210-214頁、東和社 1951年
安藤如意、渡辺英夫『坐隠談叢』（新編増補）新樹社 1955年
野上彰「吉田操子先生」『囲碁太平記』、175-178頁、河出書房新社、1963年
杉内寿子「女流囲碁史 関西の女傑、吉田操子」（『囲碁クラブ』1977年8月号）

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