吉野地震

吉野地震

吉野地震（よしのじしん）は、1952年7月18日午前1時10分に発生したスラブ内の地震であり、近畿地方を中心に広範囲で揺れが観測されました。この地震は、近畿、中国、四国、中部地域から関東、東北、九州地方の一部にまで影響を及ぼしました。特に近畿地方では震度4を記録し、滋賀県、和歌山県、兵庫県の一部では最大震度5（強震）を観測しました。

震源と規模

この地震の震源は、北緯34度27分2秒、東経135度46分4秒に位置しており、深さは約61キロメートルでした。マグニチュードは6.7で、地震の規模も大きいことがわかります。震源については最初、和歌山県の日高川上流または三重県の櫛田川中流と予測されましたが、その後奈良県中部と訂正され、吉野地震という名称が付けられました。

震源の特定が遅れた理由としては、有感半径が400キロメートル以上にわたり、また震源が地下約60キロメートルと深かったため、具体的な位置を特定するのが難しかったことが挙げられます。

被害状況

国家地方警察本部の調査によると、吉野地震による被害は深刻でした。死者は9名、負傷者は136名に上り、その大半は大阪府で発生しました。特に奈良県、京都府、大阪府を含む各地で、多くの住居が全壊または半壊しました。被害は田畑、道路、鉄道、橋梁、電柱などにも及びました。

奈良県では、地震が発生した時刻は深夜で、多くの人々が驚いて何とか避難しようとしました。たとえば、吉野郡吉野町においては、登山のため宿泊していた男性が窓から飛び降りて即死したという事例がありました。また、磯城郡大福村では9歳の少女が石灯籠の下敷きになり死亡した事故も報告されています。

さらに、吉野山の金峯山寺では寺院の構造物に亀裂が入るなどの被害が発生しました。特に観音堂から南の塔婆堂にかけて40メートルの亀裂が生じ、塔婆堂の一部も地滑りを起こして被害を受けました。

石灯籠の倒壊も多く見られ、奈良県では728基が倒れ、そのうち648基は春日大社のものでした。これは春日大社に存在する石灯籠の約1,600基のうち3分の1以上に当たります。特に石灯籠の倒壊は地震の揺れの強さを推測する指標として認識されており、過去の地震との比較からも、その影響の波及を理解する手助けとなっています。しかし、この地震による倒壊は、過去の地震の復旧作業が不完全な状態であったことが影響し、一概に揺れの強さを示す指標にはできないとされています。

まとめ

吉野地震は、紀年を超えて影響が残る災害であり、この地震によって多くの人々が命を落とし、また生活が脅かされました。その後の復旧や教訓も重要で、地震に対する備えや知識の普及が今後の大地震への対応に繋がることが期待されています。

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