吉野良彦

吉野良彦の生涯

吉野良彦（よしの よしひこ、1930年9月1日 - 2022年7月26日）は、日本の大蔵官僚であり、元大蔵事務次官です。東京都杉並区で生まれ、都立一中（現：日比谷高校）、第一高等学校を経て、東京大学法学部政治学科を卒業しました。血液型はO型です。

大蔵省入省と初期のキャリア

大学在学中に国家公務員試験（法律職・行政職）にトップで合格。1953年、大蔵省に入省しました。同期には、水野繁（東京経済大学理事長、JT社長、国税庁長官）、大場智満（財務官）、津島雄二、近藤鉄雄らがいます。入省後は大臣官房文書課に配属され、福知山税務署長、国税庁所得税課課長補佐などを歴任しました。

主計局での活躍

その後、主計局でその手腕を発揮し、主計局主計官（総務課）、銀行局中小金融課長、大臣官房調査企画課長、大臣官房文書課長などを歴任。1978年には主計局次長に就任し、その後、経済企画庁官房長、大蔵省官房長を経て、1984年に主計局長となりました。主計局長時代には、予算編成を担い、その手腕を発揮しました。

大蔵事務次官就任と消費税導入への尽力

1986年、大蔵事務次官に就任。事務次官として、財政政策の中枢を担いました。特に、消費税導入に強く関わり、1988年には竹下登総理に消費税5％を直訴した逸話があります。自民党税調の議論では、低所得者への配慮から3％に決定しましたが、吉野は5％を当然視していたため、この決定に衝撃を受けたとされています。

退官後の活動

1989年、国民金融公庫総裁に就任し、財政投融資を動かす権能を行使しました。1992年には、日本開発銀行総裁に就任。1993年には、細川内閣の経済改革研究会委員となり、積極財政論に対し、健全財政論を主張しました。また、1994年には、日本銀行総裁候補に名前が挙がりましたが、固辞し、松下康雄が総裁に就任しました。

人物像

吉野は、大蔵省内では財政再建強硬派として知られ、その強硬な姿勢から「ワル野ワル彦」とも呼ばれました。しかし、その一方で、清濁併せ呑む度量も持ち合わせていたと言われています。1999年には、財団法人トラスト60会長に就任し、晩年まで活動を続けました。

晩年と死没

2003年4月、勲一等瑞宝章を受章。2022年7月26日、91歳で死去しました。

吉野良彦は、大蔵省の官僚として、日本の財政政策に大きな影響を与えた人物です。その功績は、今後も語り継がれていくでしょう。

もう一度検索