同和鉱業キハ2100形気動車

同和鉱業キハ2100形気動車

同和鉱業キハ2100形気動車は、同和鉱業が1962年（昭和37年）から導入した自社発注の気動車です。小坂線・花岡線で使用するため、日本車輌東京支店で7両（キハ2101 - 2107）が製造されました。この車両は、同和鉱業の旅客輸送を支える重要な役割を担いました。

構造

キハ2100形は、前年に製造された関東鉄道キハ800形気動車とほぼ同様の形態をしています。主な違いは、関東鉄道の車両が空気ばね台車を採用しているのに対し、本形式は金属製コイルばね台車を装備している点です。

車体は、全鋼製の20m級で、前面貫通扉付きの両運転台式です。側面の窓配置はd1D7D1dで、上段が固定式、下段が上昇式の「バス窓」となっています。客用扉は両端寄りに半自動式の片開き扉が2箇所設置されています。ステップがない点も特徴です。車体塗装は、上半がクリーム色、下半がオレンジ色で、白帯が入っています。

車内は、戸袋部分がロングシート、それ以外が固定式クロスシートのセミクロスシートです。暖房には、国鉄標準形気動車と同様の軽油燃焼式ヴェバスト式温風暖房を採用しています。エンジンは横型の振興造機製DMH17H形ディーゼルエンジン、台車は日車NA6形です。

特筆すべきは、この20m車体が、かつて大手私鉄で導入が検討された「私鉄標準車体」の規格を基に設計されたという点です。しかし、各社が自社の事情を優先したため採用には至らず、非電化の常総筑波鉄道と、同和鉱業のみが気動車としてこの車体を採用しました。

運用

1962年10月1日の小坂線改軌とともに営業運転を開始しました。当初は7両で運用されていましたが、1967年にキハ2104がキハ2108に改番されました。最長で3両編成で運転されることもありましたが、輸送量減少により余剰が生じ、一部は他社に譲渡されました。キハ2108は1981年に、キハ2102は1983年に片上鉄道へ転出し、同社のキハ801・802として1991年まで使用されました。

1988年には、ワンマン運転開始のためキハ2105 - 2107にワンマン化改造が施されました。対象外のキハ2101・2103は予備車となりました。1993年にキハ2103が廃車となり、残る4両は1994年の小坂線旅客営業廃止まで使用されました。その後、キハ2101・2106は廃車、キハ2105・2107は弘南鉄道へ譲渡され、黒石線で1998年まで運用されました。

保存状況

キハ2101は、小坂町総合博物館郷土館での展示を経て、小坂レールパークに保存されています。キハ2106も、解体されずに小坂駅構内に放置されていましたが、現在はレールパークで保管されています。かつて片上鉄道で活躍したキハ801（元キハ2108）は、備前市の浄化センターで保管されていましたが、老朽化のため解体されました。

また、弘南鉄道に譲渡されたキハ2105・2107は、道の駅いなかだてで保存展示されていましたが、こちらも老朽化により解体されました。2019年7月現在、小坂レールパークには、修復されていないものの、キハ2101とキハ2106の2両が現存しています。

参考文献

柴田重利「東北の私鉄 3 同和鉱業小坂鉄道」『鉄道ファン』、交友社。 1963年1月号（通巻19号）
寺田裕一『ローカル私鉄車輌20年 東日本編』JTB〈JTBキャンブックス〉。 2001年9月 ISBN 4-533-03982-0

関連項目

同和鉱業
小坂製錬小坂線
同和鉱業花岡線
同和鉱業片上鉄道線

もう一度検索