名古屋平成中村座

名古屋平成中村座



名古屋平成中村座は、2006年(平成18年)に、十八代目中村勘三郎襲名披露公演として、愛知県名古屋市中村区にある学校法人同朋学園同朋高等学校で初演された歌舞伎公演です。その後、名古屋城二の丸広場でも開催されました。

歴史的背景



初代江戸猿若勘三郎が江戸三座の一つである「猿若座」を創設し、後に自身の出生地である「尾州愛知郡中村(現在の愛知県名古屋市中村区)」にちなんで、猿若座は中村座へ、猿若勘三郎は中村勘三郎へと改名しました。以降、中村勘三郎中村座の座元(一座を主宰し芝居小屋を経営する者)の名跡として受け継がれてきました。

1950年(昭和25年)には、四代目中村もしほが、それまで長く途絶えていた「中村勘三郎」の名跡を十七代目として襲名し、代々相伝する名跡と座号にちなんで屋号を新たに中村屋としました。このような背景から、十八代目中村勘三郎がその名跡襲名するにあたり、初代の出生地とされる中村区にある同朋高等学校を、名古屋平成中村座の初演の地として選定しました。

2006年公演



概要



同朋高等学校の体育館を歌舞伎小屋に改装して公演を行うという、前例のない試みが話題を呼びました。これは、中村勘三郎が学校体育館で襲名披露興行を行った初めての例です。それまでの平成中村座公演はすべて移動式の芝居小屋でしたが、名古屋平成中村座では既存の施設を改修して公演が行われ、その後の平成中村座公演にも影響を与えました。

会場運営には、イベント業者に加え、多くの同校の生徒、保護者、教職員がボランティアとして参加しました。前売り券は発売開始1時間で完売し、当日券は発売されませんでした。また、名古屋平成中村座花道は24.5mと歌舞伎史上最大級の長さを誇りました。

この巡業では、名古屋平成中村座公演のほか、秋田の康楽館や熊本の八千代座など、伝統的な芝居小屋での公演も積極的に行われました。また、ニューヨークのリンカーンセンターでの公演も実現し、名古屋での成功が海外公演へと繋がりました。

演目



昼の部

本朝廿四孝 十種香
十八代目中村勘三郎襲名披露 口上
身替座禅

夜の部

十八代目中村勘三郎襲名披露 口上
義経千本桜から「木の実」「小金吾討死」「すし屋」

出演俳優



中村勘三郎
中村扇雀
坂東弥十郎(現:坂東彌十郎
中村勘太郎(現:中村勘九郎)
中村七之助
片岡市蔵
片岡亀蔵
坂東新悟
中村芝のぶ
ほか

テレビ放映



2006年10月29日 NHK教育「芸術劇場」:義経千本桜~木の実・小金吾討死・すし屋
2006年11月11日 NHK衛星第2「山川静夫の新・華麗なる招待席」:身替座禅 口上 義経千本桜~木の実・小金吾討死・すし屋
2007年1月15日 テレビ東京系列「日経スペシャル カンブリア宮殿」:「破壊と創造で伝統を守れ」 ゲスト:十八代目 中村勘三郎
2007年3月9日 フジテレビ系列「金曜プレステージ」:「日本中が泣いた!笑った!中村勘三郎襲名公演家族が支えた664日全記録」
2007年12月23日 フジテレビ系列:「中村勘三郎 特別企画 伝えるべき大切なもの」
その他、ローカルニュースが興行前後に多数放送

2024年公演



概要



十八世中村勘三郎十三回忌追善と東海テレビ開局65周年企画として、18年ぶりに同朋高等学校体育館を会場に名古屋平成中村座が開催されました。今回は、400名を超える同校の生徒、保護者、卒業生、保護者OB/OG、教職員がボランティア(お茶子見習い)として、株式会社お茶子の指導のもと運営に携わりました。生徒公募によるキャラクター「卯鸞(うさらん)」をマスコットに、オリジナルグッズの提供など、様々な企画が展開されました。

また、2024年3月3日には、豊国神社参道でお練りが行われ、出演俳優が3万人を超える観客の中を人力車で練り歩きました。

演目



昼の部

弁天娘女男白浪
身替座禅

夜の部

義経千本桜 川連法眼館の場
二人藤娘

出演俳優



中村勘九郎
中村七之助
中村虎之介
中村鶴松
喜多村緑郎
片岡亀蔵
中村扇雀
ほか

テレビ放映



2024年1月14日 東海テレビ「十八世中村勘三郎十三回忌追善 帰ってきた!名古屋平成中村座 同朋高校公演」
2024年12月20日 フジテレビ系列「勘三郎十三回忌特別企画 中村屋ファミリー 父が遺した約束…硫黄島の軌跡」
その他、ニュース番組などで取り上げられました。

初代中村勘三郎生誕記念像



初代中村勘三郎の生誕の地とされる名古屋市中村区にある豊国神社境内に、地元ボランティア団体「中村区夢づくり実行委員会」が中心となり、初代中村勘三郎生誕記念像が2017年5月に建立されました。記念像のお披露目には、同年6月に名古屋城で開催された名古屋平成中村座に出演した中村勘九郎、中村七之助が豊国神社参道でお練りを行いました。この像は、江戸歌舞伎発祥のいわれを描いた『猿若江戸の初櫓』にある猿若舞の躍動感あふれる一瞬をとらえたもので、台座を含め高さ2.8メートルあります。

関連項目



平成中村座

外部リンク



同朋高等学校
同朋高等学校 2024年版 名古屋平成中村座まとめサイト
平成中村座チャンネル
* 密着!中村屋ファミリー

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。