名古屋貨物ターミナル駅

名古屋貨物ターミナル駅：中部圏の物流を支える高架貨物駅

名古屋貨物ターミナル駅は、愛知県名古屋市中川区に位置する日本貨物鉄道（JR貨物）の貨物駅です。あおなみ線荒子駅と南荒子駅間に営業キロを有しますが、実際の駅施設は小本駅と中島駅間に広がる、独特の立地が特徴です。

歴史：西名古屋港線の変遷と共に

1980年、国鉄東海道本線貨物支線（西名古屋港線）の駅として開業しました。当初は笹島駅と西名古屋港駅の中間駅でしたが、その後、国鉄分割民営化を経てJR貨物へと継承されます。

1990年代には、カーラックシステムを用いた自動車輸送を新潟貨物ターミナル駅や米子駅へと開始。1998年には東海道本線貨物輸送力増強工事により、稲沢駅からの電化延伸や駅構内の改良工事が実施されました。

2001年には西名古屋港線（当駅以南）が廃止されましたが、2004年には同線の一部が名古屋臨海高速鉄道あおなみ線として旅客営業を開始。貨物駅としての役割を担いつつ、新たな旅客線の開業という歴史的変化にも対応しています。2018年には、一般トラックからの鉄道コンテナへの積替え施設「セルフコンテナステーション」が開設され、物流効率の更なる向上を実現しました。

駅構造：高架上に広がる巨大ターミナル

駅の北端は西名古屋港線小本駅～荒子駅間にあり、本線から3本の着発線が分岐。南端にコンテナホームが設置されています。4面コンテナホーム、6本のコンテナ荷役線、10本の仕訳線、3本の留置線を有する大規模なターミナルです。日本で数少ない高架式の貨物駅であり、高架下は倉庫として活用されています。

駅舎はあおなみ線中島駅の高架上に位置し、3階建ての建物にはJR貨物名古屋営業支店が設置されています。構内には国道1号線と直結したトラックプールが2箇所あり、トラックの出入りと線路の交差により第一種踏切が設けられています。

開業当初から構内の入換・操車業務は名古屋臨海鉄道に委託されており、同社のディーゼル機関車が常駐していました。1998年の電化工事後も、入換作業には機関車が使用されています。近年はJR貨物HD300形ハイブリッド機関車が導入されましたが、構内運転業務は引き続き名古屋臨海鉄道の乗務員が担当しています。

取り扱う貨物：多様な輸送ニーズに対応

12ftコンテナ、20ft/30ft大型コンテナ、20ft/40ft ISO海上コンテナなど、様々なサイズの鉄道コンテナ貨物を扱います。かつてはカーラックコンテナによる自動車輸送も行っていました。産業廃棄物や特別管理産業廃棄物の取扱許可も取得しており、幅広い貨物に対応しています。

2014年時点では、高速貨物列車の上り19本、下り20本が発着。広島、福岡、鹿児島、新潟、仙台、秋田、札幌など全国各地への長距離輸送に加え、多治見や半田埠頭などの近距離輸送も担っています。刈谷オフレールステーションとの間には、トラック便が1日4.5往復運行され、中継拠点としての役割も果たしています。

トラックによる集配エリアは、名古屋市内全域、愛知県尾張北部地方、三重県北勢地方をカバーし、名古屋神宮郵便局への郵便物輸送も担っています。

駅周辺：主要施設と交通網

駅周辺には、名古屋臨海高速鉄道中島駅、名古屋市立工業高等学校、スーパージャンボ中川店、中部鋼鈑工場などが立地し、国道1号線（昭和橋通）が駅に隣接しています。

その他：開業の背景と物流ネットワーク

当初は笠寺駅から東海道新幹線沿いに南方貨物線が計画されていましたが、地元反対により工事中断、再開を経て、笹島駅の後継として当駅が先行開業しました。このため、東京方面からの貨物列車は稲沢駅で機回しが必要となり、東京方面から関西・中国・四国・九州方面への直行列車は当駅を経由しません。

福山通運や西濃運輸の専用貨物列車も当駅を発着しており、全国規模の物流ネットワークに深く関与しています。

隣の駅

西名古屋港線
荒子駅 - 名古屋貨物ターミナル駅 - 南荒子駅

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