音楽館

株式会社音楽館：音楽と鉄道シミュレータの融合

株式会社音楽館は、神奈川県川崎市に本社を置く日本の企業です。音楽制作と業務用シミュレータの企画・開発・制作を主な事業としています。

概要

音楽館は、フュージョンバンド・カシオペアのキーボーディストであった向谷実氏が、プロ用レコーディングスタジオ向けの録音機材賃貸会社として1985年に設立しました。1993年に映像と音楽を融合させたCD-ROMソフト「Touch the Music by Casiopea」を制作したことをきっかけに、コンピュータソフトの分野に進出。1995年8月には、向谷氏の幼い頃からの夢であった電車の運転を題材にしたPC用ソフト『Train Simulator』を発売し、これが同社の主力事業となっていきました。

『Train Simulator』シリーズは、PC版と家庭用ゲーム機版を合わせて31作品を数えます。コンシューマゲームの分野にとどまらず、2006年からは業務用シミュレータの製作も開始。東京急行電鉄（現：東急電鉄）および東急テクノシステムから、実際の乗務員養成に用いられるシミュレータ開発を受注、制作しました。このシミュレータには、人身事故を想定した非常時のシミュレーション機能も搭載されています。

事業の変遷

2005年10月1日には、鉄道ファン向けサイト「レールファン」の運営を東京急行電鉄から引き継ぎました（2019年8月末に全サービス終了）。

2006年には、PlayStation 3用ソフト『Railfan』を発売。「レールファン」の名前を冠し、「Train Simulator」からタイトルを変更しましたが、2007年発売の『Railfan 台湾高鉄』を含む2作品でシリーズは終了。以降は、鉄道会社や博物館向けの業務用シミュレータ制作にシフトしていきます。

2007年には鉄道博物館向けにD51形蒸気機関車シミュレータを制作。世界初となる本格的な蒸気機関車のシミュレータ開発には約3年の歳月を費やしました。動揺装置による揺れを再現し、機関士の運転だけでなく、機関助士による投炭や給水も体験できる点が特徴です。

その後も、電車とバスの博物館、鉄道博物館、キッザニア甲子園、東武博物館、九州鉄道記念館、くずはモールSANZEN-HIROBA、みさき公園わくわく電車らんど、東日本旅客鉄道E5系新幹線シミュレータなど、各地の博物館や施設に展示用シミュレータを納入。乗務員訓練用としては、マレーシア鉄道公社や九州旅客鉄道向けにもシミュレータを開発しています。

その他の事業

音楽館は、鉄道シミュレータ事業以外にも、様々な事業を手がけています。

マネジメント業務： 2012年に向谷氏がカシオペアを脱退したことに伴い、関連のマネジメント業務も請け負っています。
ホームドア開発： 2016年には、軽量型ホームドアのアイデアを考案し、日本信号との共同開発により実用化されました。このホームドアは、九州旅客鉄道（JR九州）筑肥線九大学研都市駅に試験導入されています。
コンシューマ向けシミュレータ： 2022年9月には、JR東日本向け業務用シミュレータをコンシューマ向けに改修した「JR EAST Train Simulator」の発売を発表しました。Steamでの配信を予定しており、早期アクセス版では京浜東北線および八高線を体験できます。

主な作品

Train Simulatorシリーズ
Railfanシリーズ
鉄道ゼミナールシリーズ（タイトーからの制作請負）
* 山手線命名100周年記念 電車でGO!特別編 〜復活!昭和の山手線〜（スクウェア・エニックスからの制作請負）

音楽館は、音楽制作で培った技術と、鉄道への深い愛情を融合させ、革新的なシミュレータ開発に取り組んでいます。今後の展開にも注目が集まります。

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