君津駅

千葉県君津市東坂田に所在する君津駅は、東日本旅客鉄道（JR東日本）が管轄する内房線の鉄道駅です。内房線において、隣接する木更津駅との間は最も駅間距離が長い区間として知られています。また、路線の起点である蘇我駅から当駅までの区間は線路が複線化されていますが、当駅から南の安房鴨川方面は単線区間となる、複線・単線の境界駅という重要な役割を担っています。

歴史

当駅は、1915年（大正4年）1月15日に、当時「木更津線」と呼ばれていた路線の「周西駅（すさいえき）」として営業を開始しました。その後、路線の名称変更を経て、1919年には「北条線」、1929年には房総線への編入により「房総線」の駅となります。さらに1933年には、房総線のうち蘇我駅と安房鴨川駅を結ぶ区間が「房総西線」として分離され、その一駅となりました。戦後、1950年には臨時快速「汐風」が運転を開始するなど、この地域における優等列車の停車地の先駆けとなります。

駅名が現在の「君津駅」に改称されたのは、1956年（昭和31年）4月10日のことです。路線の改良も進み、1969年には木更津駅から千倉駅までの区間が電化され、翌1970年には木更津駅と君津駅の間が複線化されました。1972年7月15日には、房総西線が現在の名称である「内房線」に改称されると同時に、総武快速線の東京地下駅開業に伴い、特急「さざなみ」や総武線からの快速列車が運行を開始し、君津駅は快速列車の始発・終着駅としての機能を担うようになります。現在の鉄筋コンクリート造りの橋上駅舎は、1973年10月11日に完成しました。その後、1982年のダイヤ改正で房総地区の急行列車が全廃された後、1985年には一部の特急列車が停車を開始。1986年には荷物扱いが廃止されました。1987年4月1日には国鉄の分割民営化に伴い、JR東日本の駅となり、1993年には全ての特急「さざなみ」が停車する駅となりました。

近代化も進み、1995年には自動改札機が導入され、1999年には東京近郊区間への編入、2001年には千葉方面、2009年には安房鴨川方面でICカード「Suica」の利用が可能となりました。近年の動きとしては、2022年3月3日をもって「みどりの窓口」の営業が終了し、同年3月12日からは木更津・君津・久留里の各駅及び木更津運輸区を統合した木更津統括センターの管理下に置かれています。

駅構造

君津駅は、地上に設けられた線路の上に駅舎が建てられた橋上駅舎を持つ駅です。ホームは単式ホームが1面と、島式ホームが1面あり、合計で2面3線の構造となっています。駅舎と地上を結ぶエレベーターは北口と南口の双方に各1基ずつ設置されています。駅施設としては、自動券売機、指定席券売機、自動改札機、自動精算機などが備えられています。ホームや改札口には、次に発車する列車を案内する電光掲示板が設置されています。利用者の利便性向上のため、2007年には改札内にエスカレーター、エレベーター、多機能トイレが整備され、2009年には各ホームに待合室が設けられました。

改札の外には、売店「NewDays」やコインロッカーがあります。公衆電話は駅舎内に改札外と改札内それぞれに1台ずつ設置されています。駅の南北には、広々としたロータリーが整備されており、路線バスやタクシーが発着しています。特に南口ロータリーからは、東京湾アクアラインを経由して東京駅や羽田空港などに向かう高速バスが運行されており、遠距離へのアクセスも便利です。

駅構内には、1番線の南側に2本の留置線とその先に引上線があり、夜間滞泊などに利用されています。また、3番線の北側にも複数の留置線がありますが、これらは主に交通建設の保守用車両などが使用しており、旅客用車両が停められることは通常ありません。北口に通じる跨線橋が比較的長いのは、かつて貨物を取り扱っていた時期があり、駅構内が広かった名残とされています。君津駅は木更津統括センターが管轄する直営駅であり、管理駅として内房線の青堀駅から浜金谷駅までの各駅を管理しています。駅構内には、鉄道関連施設として交通建設の事業所も併設されています。

のりば

ホームの運用としては、1番線（単式ホーム）は主に館山方面行きの列車が使用しますが、日中の時間帯（9時台から14時台頃）には、快速列車との接続を図るために2番線または3番線から発車する列車もあります。1番線には10両編成に対応した乗車目標が設けられていますが、現在のダイヤでは館山方面行きの10両編成列車は2番線または3番線からの発車となっています。2番線と3番線（島式ホーム）は、主に千葉方面行きの列車が使用されます。2021年3月のダイヤ改正以降、総武線や京葉線に直通する快速列車の大部分や、千葉駅発着の各駅停車列車の多くが君津駅を始発駅または終着駅として運転されています。特急「さざなみ」についても、木更津始発の4号を除く全列車が停車し、平日は全て君津駅が始発・終着駅となっています。

本線上を発着する列車は、駅構内を通過することが可能です。構内の電留線に留置されている車両がホームに入線する際や、ホームから電留線に戻る際は、青堀駅側の引上線を利用してスイッチバックを行います。夜間は、京葉線関連の列車1本が下り本線に、総武快速線関連の列車1本が中線（2番線または3番線）に、そして15両編成対応の電留線に総武快速線関連の列車2本がそれぞれ留置されています。

利用状況

2023年度（令和5年度）における1日平均の乗車人員は6,954人でした。過去のデータもJR東日本の発表や千葉県統計年鑑で公表されています。

駅周辺

君津駅周辺には、館山自動車道（君津インターチェンジ、木更津南インターチェンジ）をはじめ、国道16号、国道127号など主要な道路が通っています。駅の南北で周辺の様子が異なります。

南口:
駅南口側には、君津市の行政施設が集約して立地しています。また、イオンタウン君津などの大型商業施設も点在しており、商業・行政の中心的なエリアとなっています。東坂田や大和田といった地名の一部も南口側に含まれます。

北口:
駅北口から北東方面へ徒歩10分ほどの距離には木更津市との市境があり、隣接する木更津市の畑沢地区からは当駅が最寄りの駅となります。千葉県立君津高等学校の周辺には教育施設が集まる文教地区となっています。

注意点:
学校名に「君津」と付く千葉県立君津商業高等学校は、校名が地域としての旧君津郡に由来するものであり、実際には富津市に位置し、最寄りの駅は内房線の大貫駅となります。同様に、病院名に「君津」と付く君津中央病院も、木更津市に所在しています。君津中央病院へは、自家用車を利用するか、木更津駅または君津駅から運行されている路線バスでアクセスすることになります。

バス路線

君津駅からは、南北のロータリーから複数のバス路線が運行されています。主な運行会社は日東交通、大新東、京浜急行バス、京成バスなどです。

北口発着:
主に君津市内の循環線や、イオンモール富津、地域のコミュニティバスなどが発着します。

南口発着:
市内各地へ向かう路線に加え、マザー牧場や大貫駅東口への路線もあります。特に充実しているのが高速バスで、東京駅や羽田空港、さらには京都・大阪・USJといった遠隔地への高速バス便が運行されており、交通の要衝としての役割を果たしています。

その他

2012年3月17日から発売されている企画乗車券「休日おでかけパス」は、内房線においては当駅までが利用可能エリアに含まれています。

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