呂号第六十四潜水艦

呂号第六十四潜水艦

呂号第六十四潜水艦（ろごうだいろくじゅうよんせんすいかん）は、大日本帝国海軍が運用した潜水艦の一隻で、呂六十型（L4型）潜水艦の5番艦に該当します。計画当初は第七十九潜水艦という名称でしたが、竣工前に改称されました。

艦の建造は三菱神戸造船所で行われました。1923年（大正12年）10月15日に第七十九潜水艦として起工され、翌1924年（大正13年）8月19日に進水。同年11月1日には呂号第六十四潜水艦へと正式に改称されました。そして、1925年（大正14年）4月30日に無事竣工を迎え、同型艦である呂63潜水艦と共に第24潜水隊を編成しました。

竣工後はしばらく運用されますが、他の多くの潜水艦と同様に、時期によっては予備艦となることもありました。具体的には、1928年（昭和3年）12月10日、1932年（昭和7年）12月1日、そして1940年（昭和15年）3月20日に予備艦籍に入っています。また、1938年（昭和13年）6月1日には、艦型名が正式に呂六十型へと改正されています。

太平洋戦争が開戦に近づくと、呂号第六十四潜水艦も実戦配備されます。1941年（昭和16年）12月4日、第7潜水戦隊第33潜水隊に所属していた本艦は、クェゼリン環礁を出航し、中部太平洋の要衝であるハウランド方面の監視及び攻撃任務に向かいました。12月10日にはハウランド島に接近し、その夜には陸戦隊による施設破壊を試みる計画がありましたが、敵に動きを察知されたため、これを断念せざるを得なくなりました。しかし、翌12月11日の午前2時から3時頃にかけて、ハウランド島に対して砲撃を実施しました。同日中には、隣接するベーカー島への砲撃も敢行しています。その後、12月27日にウェーク島へ到着しました。

年が明けて1942年（昭和17年）1月1日にウェーク島を出航し、1月6日にトラック諸島に到着。1月15日にはトラックを出て、ラバウル攻略作戦にも参加しました。1月29日には再びトラックへ戻ります。2月18日にトラックを出港後は、マーシャル諸島方面での作戦行動に従事しました。その後、本土への回航となり、4月7日に舞鶴港へ入港しました。

1942年7月14日には、北方を担当する第5艦隊に編入されます。7月26日に横須賀を出港し、北方海域へと向かいました。8月1日には幌筵島に到着。8月6日にはキスカ島に到着し、以後、このアリューシャン方面での活動を展開します。8月29日にはキスカ島を出航し、アトカ島ナザン湾方面での任務に就きました。9月4日にキスカ島へ帰着してからは、周辺海域の哨戒任務に就きました。

北方での任務を終え、10月5日に舞鶴へ帰港しました。11月8日には呉へ移動し、以降は練習潜水艦として、次代の潜水艦乗りを育成するための訓練任務に就くことになります。

しかし、艦の生涯は予期せぬ形で幕を閉じます。1945年（昭和20年）4月12日、終戦間際の広島湾において、教務訓練で潜行中に、米軍が投下していた磁気機雷に触雷してしまいました。これにより、呂号第六十四潜水艦は轟沈。艦長を務めていた安久栄太郎大佐（潜水学校教官、同時に第33潜水隊司令でもあった）以下、乗員77名全員がその尊い命を失い、殉職しました。

歴代艦長

※就任時の階級は『艦長たちの軍艦史』465頁による。

艤装員長
醍醐忠重 少佐：1925年1月15日 - 1925年4月30日

艦長
醍醐忠重 少佐：1925年4月30日 - 1925年12月1日
古宇田武郎 大尉：1925年12月1日 - 1926年12月1日
中原義正 少佐：1926年12月1日 - 1927年12月1日
松崎彰 少佐：1927年12月1日 - 1928年12月10日
（兼）溝畠定一 大尉：1928年12月10日 - 1929年11月1日
玉木留次郎 大尉：1929年11月1日 - 1930年12月1日
佐々木半九 少佐：1930年12月1日 - 1931年12月1日
永井宏明（長太夫）大尉：1931年12月1日 - 1932年12月1日
（兼）清水太郎 少佐：1932年12月1日 - 1933年3月25日
畑中純彦 大尉：1933年3月25日 - 1935年2月28日
中川肇 大尉：1935年2月28日 - 1936年2月15日
伊豆寿市 少佐：1936年2月15日 - 1937年3月20日
花房博志 少佐：1937年3月20日 - 1937年11月15日
池沢政幸 少佐：1937年11月15日 - 1938年3月19日
吉留善之助 少佐：1938年3月19日 - 1938年9月1日
小川綱嘉 少佐：1939年4月1日 - 1939年9月11日
（兼）戸上一郎 少佐：1939年9月11日 - 1939年11月1日
大田武 大尉：1939年11月1日 - 1940年7月26日
宇野亀雄 少佐：1940年7月26日 - 1942年2月10日
田畑直 少佐：1942年2月10日 -
和田睦雄 大尉：1942年10月15日 -
（兼）楢原省吾 大佐：1943年9月1日 -
岡山登 大尉：1944年1月20日 -
大野保四 大尉：1944年4月30日 -
佐藤清輝 大尉：1944年8月31日 -
木内哲朗 大尉：1944年10月14日 -
徳永正彦 大尉：1944年11月6日 -
吉沢千明 大尉：1944年12月11日 -
（兼）大谷清教 大佐：1945年2月15日 -
* （兼）安久栄太郎 大佐：1945年3月15日 - 1945年4月12日殉職

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