呉巨

呉 巨（ご きょ）

呉巨は中国後漢末期の武将で、その生没年は不詳ですが、荊州長沙郡に生まれました。彼は武人として非常に勇敢な性格が評価されており、その生涯は多くの歴史的な出来事に影響を与えました。呉巨の人生は特にその勇猛さと、彼が関与した政治的な動きによって特徴付けられています。

生涯の軌跡

呉巨はその武勇に励んでいましたが、歴史的な文献から知る限り、彼はさまざまな政局と関わりを持つことになります。後漢末の混乱期、荊州牧である劉表は、交州刺史である張津と蒼梧太守の史璜の死後、呉巨を頼恭と共に交州に派遣しました。この時、呉巨は張津と史璜の後任となります。

しかし、後に呉巨は頼恭と対立し、頼恭は零陵に逃げなければならなくなりました。このような反目は、彼の性格と政治的な判断力を浮き彫りにしています。呉巨は非常に勇敢で決断力のある人物であった一方で、時にその判断が仲間との関係に影響を及ぼすこともありました。

また、彼は劉備と昔からの友人関係にありました。劉表が亡くなり、曹操からの追撃を受けた劉備は呉巨の元に逃げようとしました。しかし、孫権の軍に属する魯粛は、呉巨を信用することに対して懸念を持ち、「呉巨は平凡な人物であり、当てにしても意味がない」と進言しました。このため、劉備は呉巨への逃避を断念し、結果的に自らの運命を選ぶことになりました。

最期と歴史への影響

210年、孫権は交州刺史として歩騭を派遣し、呉巨は降伏しますが、内心では異なる思惑を抱いていました。そんな彼の心を見抜いた歩騭は、会談の場で呉巨を斬り殺し、その首をさらしものにしました。この行動は、呉巨の運命を決定づけるものとなり、歴史において彼の名を消す結果となりました。

小説『三国志演義』では、呉巨は第42回において、諸葛亮と魯粛の間で名前が言及される際に、「呉臣（ごしん）」という名前に改められています。これは歴史上の呉巨の評価や彼の人物像を示唆しているようです。彼の勇敢さは、時代を超えて語り継がれていますが、彼の最期は多くの教訓を我々に残しています。歴史に名を残すには、ただの勇敢さだけでなく、周囲との関係を築く理解力も重要であることを示しています。

このような背景を持つ呉巨の人物像は、中国歴史の中でも特異な存在であり、その波乱万丈の人生は多くの人々にとって興味深い研究対象となっています。

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