呉江区

呉江区

呉江区（ごこうく）は、中華人民共和国江蘇省蘇州市に位置する市轄区です。その歴史は古く、五代十国時代の909年に呉越によって県が設置されたことに始まります。元代には州に昇格しましたが、明代には再び県に戻されました。清代になると人口増加に伴い、東部の呉江県と西部の震沢県に分割されました。その後、1912年に再び合併され、1992年には市となりました。そして、2012年に市轄区に昇格し、現在の呉江区が誕生しました。

地理

呉江区は、長江デルタ地帯に位置し、東は上海市青浦区、南東は浙江省嘉善県、南は浙江省嘉興市と桐郷市、南西は浙江省湖州市に接しています。西は太湖に面し、北は蘇州市呉中区、北東は崑山市と隣接しています。地形的には、山地はなく、低く平坦な地形で、東北から西南へ向かって緩やかな傾斜があります。南北の高低差はわずか2メートル程度です。

区内には、太湖や京杭大運河が南北に貫通しており、また、縦横に河川が流れ、池や湖が密集する水郷地帯です。古くから「魚米之郷」と称えられ、農業や漁業が盛んでした。また、「絲綢之府」とも呼ばれ、繊維産業も発展してきました。区の総面積は1,176平方キロメートル（太湖の水面を含まず）で、水域面積は267.1平方キロメートルを占めています。

行政区画

呉江区は、以下の街道と鎮から構成されています。

街道：松陵街道、横扇街道、八坼街道、江陵街道
鎮：平望鎮、盛沢鎮、七都鎮、震沢鎮、桃源鎮、黎里鎮、同里鎮

経済

呉江区の経済は、コンピュータ、紡績、光ファイバーケーブルの3つの産業が中心となっています。これらの産業は、呉江経済開発区、汾湖経済開発区、盛沢鎮の3つの地域に集中しています。

交通においては、かつては水運が主要な役割を担っていました。京杭大運河や太浦河といった水路を通じて、長江デルタの各地と密接に繋がっていました。日中戦争前には、呉江を貫通する蘇嘉線が開通しましたが、戦争中に破壊され、再建されることはありませんでした。しかし、2000年には、南北方向の蘇嘉杭高速道路と東西方向の滬蘇浙高速道路が開通し、さらに地域の郷鎮を結ぶ道路も整備されたことで、陸運が便利になりました。最も近い鉄道駅は、京滬線の蘇州駅（22キロ）で、空港は上海の虹橋空港が約80キロの距離にあります。

出身者

呉江区の出身者としては、以下の著名人が挙げられます。

施肇基：中華民国の外交官・政治家。満州事変時の国際連盟中国全権代表であり、中華民国の初代駐米大使を務めました。
費孝通：社会学者、人類学者、民族学者として知られています。

呉江区は、豊かな自然と歴史を持ち、経済的にも発展を遂げている魅力的な地域です。

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