周延儒

周延儒（しゅう えんじゅ）

周延儒は、明末の官僚であり、1593年11月12日に生まれ、1644年1月17日にこの世を去りました。字は玉縄と称しました。彼は江蘇省宜興の出身で、若くしてその美貌と才能で名を馳せ、郷里では非常に人気があったと伝えられています。

出世の道

17歳という若さで科挙の会試で首位、さらに殿試でも首位という輝かしい成績を収め、翰林院修撰という役職に就きました。その後も右中允や少詹事といった要職を歴任し、着実にキャリアを積み重ねていきました。

1629年、周延儒は礼部尚書と東閣大学士に任命され、翌年には内閣の首輔という最高位にまで上り詰めます。しかし、彼は風流を好み、男色や女色、宴会などの享楽的な生活を好む人物でした。この点が、後に彼の運命を大きく左右することになります。

失脚と復帰

1633年、大学士の温体仁に嫉妬され、病気を理由に一時休職します。崇禎帝から多大な賞与を与えられましたが、これは一時的なものでした。1641年、東林党の推薦により再び召還され、内閣首輔に返り咲き、吏部尚書と中極殿大学士を兼任します。周延儒は飢饉に苦しむ地域での農業税を一時的に免除し、社会の安定に貢献しました。1643年の大晦日には、崇禎帝から「朕以天下聴先生（天下を先生に任せる）」という言葉とともに敬意を払われました。しかし、彼の性格は優柔不断で、貪欲な面も持ち合わせていました。

最期

1643年4月、清軍が再び北京一帯に侵攻すると、周延儒は崇禎帝に迫られ、軍の指揮を執るよう命じられました。しかし、彼は戦うことを恐れ、清軍が自ら退却するまで何も行動を起こしませんでした。彼はこのことを自分の功績として偽って報告し、重賞を受けましたが、後にその嘘が発覚し、崇禎帝の怒りを買ってしまいます。1643年6月、免職となり故郷へ帰されました。その後、郷里で逮捕され、北京の廟に軟禁されます。彼は追放と労役の刑を求めましたが、聞き入れられず、12月7日に自害を命じられます。家族との別れを惜しみ、号泣した後、翌朝に自ら首を吊って命を絶ちました。

周延儒の人物像

周延儒は、その才能と美貌で人々を魅了した一方で、享楽的な生活と優柔不断な性格が災いし、最終的には悲劇的な結末を迎えることとなりました。彼の生涯は、明末の政治の混乱と官僚の腐敗を象徴する出来事として、後世に語り継がれています。

参考資料

『崇禎長編』
『明史』列伝第一百九十六 奸臣

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