崇禎帝

崇禎帝：明朝最後の皇帝

崇禎帝（すうていてい）は、明朝第17代にして最後の皇帝であり、諱は由検（ゆうけん）です。即位当初は思宗、後に毅宗、威宗、懐宗と諡号が改められました。一般的には、清朝がつけた諡号「莊烈愍皇帝」として知られています。

生涯

泰昌帝の五男として生まれた崇禎帝は、兄である天啓帝の崩御後、後継者がいなかったため、1628年に皇位を継承しました。即位後、専横を極めていた宦官の魏忠賢を排除し、名臣として知られる徐光啓を登用するなど、政治改革に意欲を見せました。しかし、当時の明朝は、北方の満州族による侵攻や、国内各地で発生した反乱など、まさに国難の時代でした。

崇禎帝自身は、祖父や兄とは異なり、政治に熱心で倹約を心がけていました。しかし、その猜疑心の強さが災いし、多くの重臣を処刑したことが、明朝滅亡の大きな要因となりました。特に、満州族の侵入を防ぐ要であった名将・袁崇煥の処刑は、致命的な失策とされています。在位17年の間に、崇禎帝によって処刑された重臣は多数に上り、これが重臣たちの士気を著しく低下させました。また、反乱鎮圧のために行った増税は、かえって民衆を窮乏させ、反乱軍に加担させるという悪循環を生みました。

1644年、李自成率いる反乱軍によって北京が包囲されると、崇禎帝は息子たちを脱出させ、側室や娘たちを自らの手で殺害しました。皇后の自害を見届けた後、紫禁城を脱出し、景山で首を吊って自害しました。享年34歳でした。李自成の命により、皇貴妃の墓が開かれ、崇禎帝と皇后はそこに合葬されました。娘の一人である長平公主を斬る際、「なぜ皇帝の娘に生まれてしまったのか」と嘆き悲しんだという逸話が残っています。しかし、その際に公主を殺し損ねてしまったため、後に一命をとりとめたという奇跡的な出来事も起きています。

宗室

后妃
荘烈愍皇后（孝節烈皇后）周氏
皇貴妃 袁氏
恭淑皇貴妃 田秀英
妃 尤氏、陳氏、盧氏、王氏、王氏、方氏、劉氏、沈氏
嬪 養艶姫、藺婉玉
青霞女子（複数人）

男子
献愍太子（悼帝） 朱慈烺
懐隠王 朱慈烜
定哀王 朱慈炯
永悼王 朱慈炤
悼霊王 朱慈煥
悼懐王 朱慈燦
悼良王（名前なし）

女子
坤儀公主
長平公主
昭仁公主
その他3人（早世）

評価

近年、中国で出版された崇禎帝を扱った書籍が、その内容から政府当局によって回収処分となる事件がありました。この事件は、崇禎帝の勤勉な統治姿勢が、現代の中国指導者のイメージと重なることを政府が警戒したためだと考えられています。書籍の宣伝文句が、さらに当局の神経を逆なでしたと見られています。

登場作品

崇禎帝は、小説や映画、ドラマなど、様々なフィクション作品にも登場しています。

小説
『碧血剣』（金庸）

映画
『ブレイド・マスター』（2014年）
『修羅:黒衣の反逆』（2017年）

ドラマ
『碧血剣』（2007年）
「明珠遊龍」（2012年）
『皇后の記』（2015年）
「袁崇煥」（2018年）

崇禎帝は、その悲劇的な最期と、明朝滅亡の象徴として、後世に語り継がれています。彼の治世は、為政者の資質と、国家の運命を考える上で、重要な教訓を与えてくれるでしょう。

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