温体仁

温体仁（おん たいじん、1573年 - 1638年）は、明王朝末期の官僚であり、字は長卿と称しました。彼は湖州府烏程県南潯の出身です。

生涯

温体仁は、その風変わりな性格で知られ、特に強い財欲と色欲のため、周囲からは煙たがられる人物でした。しかし、その一方で、官僚としてのキャリアは着実に歩んでいます。

1598年、万暦26年に科挙に合格し、進士に及第。その後、庶吉士に選ばれました。2年後の1600年、万暦28年には翰林院編修に任じられ、学問の府である翰林院でその才能を発揮します。1616年、万暦44年には少詹事に進み、南京翰林院の印を管理する役職に就きました。1622年、天啓2年には、礼部右侍郎と協理詹事に昇進し、翌年には礼部左侍郎となりました。1627年、天啓7年には、南京礼部尚書に任命され、中央官僚としての地位を確立しました。

崇禎帝の時代に入ると、温体仁のキャリアはさらに加速します。1630年、崇禎3年には礼部尚書・東閣大学士に昇進し、太子太保が加えられました。さらに文淵閣大学士に進むと、政治の中枢に近づいていきます。1632年、崇禎5年には、少保・太子太保が加えられ、戸部尚書・武英殿大学士として内閣の次席に位置づけられました。この時期、彼は自分よりも20歳年下の首輔である周延儒に対して嫉妬心を抱き、密かに周延儒を排斥しようと画策しました。1633年、崇禎6年には、周延儒は病気を理由に辞職し、郷里に帰りました。これにより、温体仁は周延儒に代わって内閣の首輔という最高位の地位に就くことになります。この間、温体仁は権力を手に入れましたが、その強引なやり方は多くの人々の反感を招きました。

しかし、その栄光も長くは続きませんでした。1637年、崇禎10年には、銭謙益や曹化淳らによって弾劾を受け、失意のうちに病気を理由に辞職し、郷里へと帰りました。そして、1638年、崇禎11年に病没しました。

温体仁の生涯は、明王朝末期の政治腐敗と権力闘争を象徴するものであり、その人物像は後世に多くの教訓を残しています。

参考資料

『崇禎長編』
『明史』

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