周文 (秦末)

周文（しゅう ぶん）

周文は、秦末の動乱期に陳勝に仕えた将軍であり、その軍事的手腕で歴史に名を残しました。

生涯

賢人として知られた周文は、かつて楚の将軍である項燕のもとで、時期や吉凶を占う官職に就き、春申君にも仕えた経験を持ちます。彼は自らを軍事に習熟していると豪語していました。

二世元年（紀元前209年）に陳勝・呉広の乱が勃発すると、陳勝は制圧した陳を拠点に「張楚」という国を建てて王を名乗ります。その直後、呉広に滎陽攻略を命じますが、攻略は難航します。

そこで陳勝は、周文が軍事に長けているという評判を聞きつけ、彼を将軍に任命し、秦の本拠地である咸陽攻略を命じます。周文は進軍の途中で兵を集めながら西へ進み、難攻不落と言われた函谷関を突破しました。彼の軍勢は兵車千乗、兵士数十万という大軍に膨れ上がっていました。

しかし、秦も黙ってはいません。少府の章邯に、酈山にいる囚人や奴隷を動員させ、張楚軍を迎え撃たせます。周文は章邯率いる秦軍に敗れ、函谷関から撤退を余儀なくされました。

この頃、陳勝に仕えていた張耳と陳余は、周文が函谷関を突破後に秦軍に敗北したことを知り、将軍の武臣に趙王として自立することを勧めました。その結果、武臣は趙王を名乗ることになります。

周文は曹陽に2、3ヶ月ほど軍を留めますが、追撃してきた章邯に再び敗れます。そして、二世二年（紀元前208年）11月には、澠池に十余日駐屯したものの、章邯との戦いで大敗を喫し、自刎して果てました。彼の死は、陳勝軍に大きな打撃を与えました。

また、呉広の配下であった将軍の田臧は、周文の軍が敗れたと聞き、滎陽の軍を掌握するために、偽って陳勝の命令と称して呉広を殺害します。その後、田臧は秦軍と戦いますが、敗れて戦死しました。

同年12月、章邯に敗れて逃走した陳勝もまた、部下の荘賈に裏切られて殺害され、陳勝・呉広の乱は終焉を迎えます。

史料

* 『史記』

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