周易参同契

『周易参同契』の概要

『周易参同契』（しゅうえきさんどうけい）は、古代中国の煉丹術に焦点を当てた書物で、主に易経の卦を用いて煉丹の理論を探求しています。著者とされる魏伯陽は、後漢から三国時代にかけての人物で、葛洪の『神仙伝』にもその名が登場します。この書は『道蔵』の太玄部に収められ、時代を超えて影響を与えてきました。

成立と伝承

魏伯陽の存在については、彼が三国時代の呉に生まれたことが伝えられており、彼の著作が中でどのように成立したのかは分かっていません。初めは別の人物による作品が本書に組み込まれたため、文章が難解になったとの見方もあります。著者名が謎解き形式で示されることから、本書の成立時期や著者の本当の身分は謎に包まれています。

彭暁の序文によれば、参同契の「参」は雑、同は通、契は合を意味し、煉丹術と易の理論が密接に関連していることを示しています。また、煉丹における炉火（技術）、黄老（養生）、大易（理論）を調和させることが重要とされています。書は主に四言や五言の韻文で構成されており、散文や賦も見受けられます。

内容の特徴

本書は主に上・中・下の三篇に分かれ、それぞれが同じ理論を繰り返す形になっています。特に、易の中で最も基礎となる卦である「乾坤」と「坎離」の四卦を中心に、陰陽の調整が解説されています。煉丹術では「乾坤」が鍋、「坎離」が薬物に対応します。また、正しい方法で煉丹を行った場合、3年間服用することで体が空中に浮くという記述もあり、煉丹術に対する期待の高さがうかがえます。

さらに、煉丹における火加減の調整は、象数易の十二消息卦を利用して説明されており、実用的な知識の提供が目的となっています。重要視される物質は鉛と汞であり、これらを陰陽に結びつけ、龍と虎や太陽と月などの比喩を用いながら様々な解釈がなされています。この多様な比喩が解釈の難しさを増しています。

後世への影響

隋唐時代には、煉丹術が盛んになる中で、『周易参同契』に基づく鉛・汞に重きをおいた金丹術が広がりました。特に唐時代に、劉知古の『日月玄枢論』が本書に関する最初の解説として位置づけられています。その後、薬物を使った外丹式から体内の気を重視した内丹術へと変化が見られ、『周易参同契』は内丹関連の書としても価値を持つようになりました。彭暁による注釈も、外丹と内丹の両形式が交じり合った特殊な内容を呈しています。

また、宋末元初には兪琰が関連著作を行い、儒学者たちも関心を持つようになりました。朱熹による『周易参同契考異』はその一例です。仏教においては、唐代の石頭希遷が『参同契』を著し、特に曹洞宗で重視されています。

日本においても、この書物は江戸時代初期に藤原惺窩や林羅山によって珍重され、幸田露伴が詳細な「仙書参同契」を著しました。

結論

『周易参同契』は、古代中国の思想を根底に持ちながら、煉丹術の知識と易の理論を結びつける試みを示しており、その内容は多面的で挑戦的と言えるでしょう。

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