周有光

周有光について

周有光（しゅう ゆうこう、1906年1月13日 - 2017年1月14日）は、中国の著名な経済学者かつ言語学者であり、特に漢語拼音の策定と普及に深く関与した人物です。彼は非常に長命であり、百歳を超えた後も政治的な発言をすることでも知られています。本名は周耀平です。

生涯

周有光は清の時代、江蘇省常州に生まれました。彼は1923年に中華民国上海の聖ヨハネ大学に入学したものの、1925年に発生した五・三〇事件を受けて、闘士として立ち上がった教師や学生たちと共に新しい光華大学に移りました。1927年には光華大学を卒業し、1933年に経済学者の張允和と結婚を果たしました。

その後、周は日本に留学し、河上肇から経済学を学ぶ予定でしたが、河上が検挙されたため戻ることを余儀なくされました。留学生活から帰国し、光華大学で経済学を教えた彼は日中戦争の影響で奥地に逃れたり、新華銀行で働くなど多彩な経歴を持っています。

1949年には中華人民共和国が成立し、上海に戻った後、復旦大学と上海財経学院で教授として教壇に立ちました。この間、文字改革についての研究を進める一方、1954年に文字改革委員会に招かれ、大学を辞職し北京に移住しました。以降は経済学から離れ、文字改革の専門家として活動を続けました。

文化大革命の間には「反動学術権威」として批判され、寧夏の五七幹部学校に送られましたが、1971年に釈放。その後、文革終結後には文字改革に関する著作活動を再開しました。1979年にはワルシャワの国際標準化機構の会議で拼音を国際標準とする提案を行い、1982年にはISO 7098として正式に認可されました。

1980年代には『ブリタニカ百科事典』の中国語への翻訳委員を務めるなど、多岐にわたる活動を展開しました。1985年に名を変更した文字改革委員会においても委員として貢献しましたが、1989年に退職。その後も著作活動を続け、2006年には百歳の誕生日を迎えました。111歳となった2017年の誕生日の後に、北京でその生涯を閉じました。

政治批判

周有光は退職後、特に海外でのインタビューを通じて政治的発言が増えました。香港の『開放雑誌』のインタビューでは、中国共産党を批判し、「共産党が民主主義は中国の国情に合わないと主張するが、本当に国情に合わないのは共産党だ」と発言しています。また、ニューヨーク・タイムズの記事では、彼の一党独裁への反対や民主主義を現代社会の自然な形であるとする見解が強調されています。

彼は情報化とグローバリズムの重要性を説き、最近の中国の民族主義に対しては懸念を示しています。「中国から世界を見るのではなく、世界から中国を見るべきである」と考える姿勢が垣間見えます。

主な著書

周有光の主な著作には、以下のようなものがあります。

• - 『漢字改革概論』（1961年）
• - 『拼音化問題』（1980年）
• - 『漢字と文化問題』（1999年）
• - 『周有光語文論集』（2002年、全4巻）
• - 『周有光文集』（2013年、全15巻）

これらの著作は、文字改革や言語学の発展において重要な位置を占めており、周の豊かな知識と見識を色濃く反映しています。

周有光の歩みは、中国の言語の改革や教育の発展に大きな影響を与え、時代を超えた重要な教訓を我々に残しています。彼の生涯と業績は、文学や社会科学の分野においても永遠に語られることでしょう。

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