周順昌

周順昌（しゅう じゅんしょう）

周順昌（1584年 - 1626年）は、明代末期の官僚です。字は景文、号は蓼洲と称しました。蘇州府呉県（現在の江蘇省蘇州市）の出身です。

生涯

1613年、進士に及第し、官僚としての道を歩み始めました。初めは福州府推官に任じられ、税務監察官である高寀の不正を厳しく追及し、その部下を逮捕するなど、職務に忠実な人物でした。この高寀は、民衆反乱を扇動し、福建巡撫の袁一驥を脅迫し、その子を人質に取るなど横暴な振る舞いをしました。また、副使の呂純如も人質となりました。この際、周順昌を身代わりの人質にしようという意見も出ましたが、周順昌はこれを拒否しました。このことで、後に呂純如は周順昌を恨むことになります。

その後、周順昌は吏部稽勲主事に抜擢され、1622年には吏部文選員外郎、さらに吏部文選主事を代行するなど、順調に昇進しました。しかし、間もなく官を辞して故郷に戻ります。

1623年、蘇松十府巡撫の周起元が、時の権力者である魏忠賢に逆らったために官職を剥奪されると、周順昌は周起元を励ます文章を送り、その不当な処遇に抗議しました。1625年、魏忠賢の専横により逮捕された魏大中が、故郷の呉県を通過する際、周順昌は魏大中に餞別を贈り、三日間寝食を共にしました。さらに、自身の娘を魏大中の孫に嫁がせることを約束するなど、魏大中を支援する姿勢を明らかにしました。

この時、魏忠賢の部下である旗尉が同行していましたが、周順昌は彼を激しく叱責し、「お前は世の中に死を恐れない男がいることを知らないのか。魏忠賢に伝えろ。自分は吏部郎の周順昌だ」と叫びました。そして、戟を手に取り、魏忠賢を激しく罵りました。このことが魏忠賢の耳に入ると、魏忠賢は義子である御史の倪文煥に指示し、周順昌が罪人と親交を結び、賄賂を隠しているという偽りの罪をでっち上げました。魏忠賢は天啓帝の命令を偽造し、周順昌の官職を剥奪しました。さらに、以前恨みを抱いていた呂純如も周順昌を陥れるための嘘の告発を行いました。

1626年、周順昌は周起元らと共に逮捕されました。不正に得た財産3000を隠匿しているという濡れ衣を着せられ、錦衣衛の許顕純によって激しい拷問を受けました。拷問に耐え抜きましたが、同年6月17日、獄中で亡くなりました。享年43歳でした。

1627年、崇禎帝が即位すると、魏忠賢の勢力は失墜し、倪文煥が処刑されました。これにより、周順昌は名誉を回復され、太常寺卿の位が追贈され、忠介という諡号が贈られました。

子女

周茂蘭（長男）：字は子佩。父の冤罪を訴えるため宮殿を訪れました。崇禎帝が周順昌に追贈を行った後も、茂蘭はさらに上奏し、三代にわたって誥命を与え、祠堂を建てることを願い出ました。崇禎帝はこれを許可し、以前に不当な死を遂げた他の臣下にも同様の措置を講じました。茂蘭は学問を好みましたが、官職には就かず、北京が陥落した後は隠居して静かに生涯を終えました。

参考資料

『明史』巻245 列伝第133

周順昌は、その剛直な性格と不正を許さない姿勢によって、後世に語り継がれる人物となりました。魏忠賢の専横に屈することなく、民衆のために戦い続けた彼の姿は、正義と勇気の象徴として人々の心に刻まれています。

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