和泉国分寺

和泉国分寺について

和泉国分寺は、大阪府和泉市国分町に所在する高野山真言宗の寺院です。山号を護国山と称し、本尊には薬師如来を祀っています。地域では「福徳寺」の名でも親しまれています。

この寺院は、奈良時代に聖武天皇の勅命によって日本各地に建立された国分寺の一つであり、特に和泉国における国分僧寺の後継寺院としての役割を担っていました。

歴史

創建時期は明確にはわかっていません。国分寺建立の詔が発せられたのは天平13年（741年）のことですが、当時の和泉国はまだ成立しておらず、この地域は河内国の一部でした。その後、天平宝字元年（757年）に和泉国が成立し、承和6年（839年）に国分寺に指定される以前は、「安楽寺」という名前の寺院でした。

寺域から出土した瓦を調べると、7世紀後半の軒丸瓦が1点のみ見つかっていますが、数量としては少なく、本格的な整備は8世紀に入ってから始まったと推測されています。しかしながら、本格的な発掘調査はまだ行われていないため、具体的な伽藍の配置や詳細な建立時期については、現在のところ明らかになっていません。

承和6年（839年）に国分寺として指定された際には、講師1名と僧10名が配置されましたが、読師は置かれなかったと記録されています。また、和泉国内には国分尼寺は設置されませんでした。なお、国分寺の所在地は、当時の和泉国の国府があったとされる場所（府中付近）からは少し離れた位置にあります。

延長5年（927年）に成立した『延喜式』の主税上の規定によると、和泉国の国分寺の運営費用として、稲5千束が割り当てられていました。

その後の詳しい変遷については、残念ながら記録が残っていません。ただ、「兼貞珍光時論田勘注案」という文書に引用された嘉承元年（1106年）と天仁2年（1109年）の文書には、国分寺の領地に関する記述が残っています。鎌倉時代の末頃には、国分寺としての機能は失われていたと考えられています。

『泉州志』には、「国分寺は今福徳寺と号す」とあり、かつて金堂、塔、中門、大門の礎石が散在していたと記録されていますが、現在ではこれらの礎石の所在は確認されていません。

境内

境内の詳細な構造については、発掘調査が行われていないため不明な点が多いです。

文化財

和泉市指定文化財

有形文化財

千手観音立像
平安時代に制作されたと伝えられています。2018年（平成30年）3月8日に和泉市指定文化財に指定されました。

参考文献

境内説明板
「国分寺」『日本歴史地名大系 28 大阪府の地名』平凡社、1986年。ISBN 458249028X。
中世諸国一宮制研究会編 編『中世諸国一宮制の基礎的研究』岩田書院、2000年。ISBN 978-4872941708。
和泉市史編さん委員会編 編「和泉市の古代寺院」『和泉市の考古・古代・中世（和泉市の歴史6）』和泉市・ぎょうせい、2013年、268-276頁。ISBN 978-4324800621。

関連文献

岸本直文・彦坂めぐみ・阪井田耕司ほか「和泉国分寺跡と出土瓦（和泉市国分町合同調査報告）」『市大日本史』第8巻、大阪市立大学日本史学会、2005年5月、132-146頁。

外部リンク

国分寺 - 和泉市文化財活性化推進実行委員会「和泉市の文化財」

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