和田川 (常願寺川水系)

和田川

概要

富山県富山市内に位置する和田川は、一級河川である常願寺川に合流する重要な支流であり、常願寺川水系の一部を形成しています。この河川は、山間部を流れる清流であり、特に上流部に建設されたダム施設によって、地域の水資源供給や電力供給に大きく貢献しています。

地理的特徴と流路

和田川の源流は、富山県富山市の南東端、岐阜県との県境にそびえる寺地山（標高1,996メートル）の山腹にあります。この山岳地帯から流れ出した水は、次第に沢となり、やがて下流へと向かいます。和田川の流路上で最も特筆すべきは、中流部に位置する有峰ダムの存在です。この巨大なコンクリートダムの建設により、広大な人造湖である有峰湖が形成されました。有峰湖は、周囲を深い山々に囲まれた貯水湖であり、その豊かな水は多様な用途に利用されています。
有峰湖への流入は、和田川本流からの水の他に、計画的に導水された神通川水系の双六川からの補給水によっても賄われています。これにより、有峰湖は安定した貯水量を維持し、水資源供給の拠点となっています。
有峰湖を出た和田川の流れは、そこからおよそ北西の方向へと向きを変え、険しい山間部を縫うように下っていきます。流域には豊かな森林が広がり、清らかな水が流れます。流れは徐々に平野部に近づき、富山市内の和田地区と小見地区の境界付近で、常願寺川の本流へと合流し、その旅を終えます。
和田川の流路の西側には、同じ常願寺川水系に属する小口川がほぼ並行して流れています。これらの河川は地形的に近接しており、特に水力発電においては、和田川の水を小口川側の発電施設へ送水するなど、密接な連携が見られます。

河川施設

和田川の流域には、その豊富な水資源を有効活用するための主要な施設が設けられています。

有峰ダム: 河川の最上流部に建設された重力式コンクリートダムで、和田川の水を堰き止めて有峰湖を形成しています。主に水力発電を目的としていますが、治水や利水にも重要な役割を果たしています。
新中地山ダム: 有峰ダムのさらに下流に位置するダム施設です。こちらも水力発電など、利水目的で運用されています。

これらのダムは、和田川の年間を通じた水量の調節を可能にし、安定的な電力供給や下流域への水供給を支えています。

流域の自治体

和田川は、その源流から合流点に至るまで、すべて富山県富山市内を流れています。富山市は、和田川の自然環境の保全や水資源の管理において中心的な役割を担っています。

富山県
富山市

並行する交通路

和田川の上流部、特に有峰湖へのアクセスには、山間部を通過する道路が利用されます。

有峰林道: 有峰湖周辺に通じる有料道路です。この林道は、流域の自然景観を楽しみながら移動できるルートとして、地域住民や観光客に利用されています。ただし、冬季は積雪のため通行止めとなる期間があります。

主要な橋梁

和田川に架かる代表的な橋梁を、下流側から順に挙げます。流路上の重要な構造物としてダムも含めて記載します。

（常願寺川合流点）
霞橋（かすみばし）: 常願寺川との合流点に近い下流部に位置する橋です。
（新中地山ダム）: ダム施設。
（有峰ダム）: ダム施設。

これらの橋やダムは、地域の交通網や河川管理において重要な役割を果たしています。

関連項目

和田川と関連の深い項目として、以下の河川が挙げられます。

小口川: 和田川のすぐ西側を並行して流れる常願寺川水系の河川です。和田川との間で水の融通が行われるなど、水力発電において密接な関係があります。

和田川は、その上流部の豊富な水量を活かした水力発電や、有峰湖による水資源の貯留といった重要な役割を持ち、富山県の社会経済活動や自然環境維持に不可欠な存在です。

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