哈銘

哈銘（ハメイ）：明朝を支えたモンゴル出身の官僚・軍人

哈銘（生年不詳 - 1503年）は、明朝中期に活躍した官僚であり、軍人です。モンゴル出身で、その生涯は激動の時代と深く結びついていました。

土木の変と英宗との出会い

1449年、明朝の歴史を大きく揺るがす「土木の変」が起こります。この戦いで、明の皇帝である英宗は、オイラトのエセン・ハーンに捕らえられてしまいます。この時、幼い哈銘は、通訳を務める父に従って英宗に仕えることになりました。哈銘は、英宗とエセンとの間を繋ぐ重要な役割を担い、英宗の意向をエセンに伝えたり、エセンの要求を英宗に伝えたりする使者として活躍しました。

異郷の地で捕虜となった英宗は、故郷を恋い慕い、鬱屈とした日々を送っていました。哈銘は、同じく英宗に仕えていた袁彬と共に、皇帝の心を慰め、励ましたと言われています。しかし、エセンの側近である宦官の喜寧は、哈銘と袁彬を危険視し、何度も暗殺を試みたようです。

明朝への帰還と官僚としての活躍

1450年、哈銘は英宗と共に北京に戻ることができました。この際、楊姓を賜り、楊銘と名乗るようになります。帰国後、哈銘は明朝の官僚として新たなキャリアを歩み始めます。

1457年、哈銘は錦衣衛指揮僉事という役職に任命されます。しかし、1459年には副千戸に降格され、貴州衛に左遷されるという不遇も経験します。しかし、1461年、曹欽の乱を鎮圧した功績により、再び錦衣衛指揮同知に昇進。その後も、1466年の劉千斤の乱の鎮圧に貢献し、1467年には錦衣衛指揮使にまで上り詰めました。

哈銘は、官僚としてだけでなく、外交官としてもその才能を発揮しました。外国への使節として何度も派遣され、通訳としての役割を果たしました。

その後の人生と著作

1487年、弘治帝が即位すると、先帝の側近たちが粛清されましたが、哈銘は辺境での功績が認められ、以前の官位を維持することができました。1503年、哈銘は官職にあるまま生涯を閉じました。

哈銘は、その生涯を記録した著作も残しています。著書には、『正統臨戎録』1巻と『北狩事蹟』1巻があり、当時の歴史を知る上で貴重な資料となっています。

まとめ

哈銘は、激動の時代を生き抜いた人物です。モンゴル出身でありながら、明朝の官僚として活躍し、数々の功績を挙げました。その生涯は、土木の変という歴史的な事件と深く結びついており、使者や通訳としての役割、そして官僚としての活躍は、明朝の歴史を語る上で欠かすことのできないものです。

また、著書を通じて後世に歴史を伝えたことも、彼の大きな功績と言えるでしょう。

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