唄の世の中

映画『唄の世の中』について

『唄の世の中』（うたのよのなか）は、1936年に公開された日本のコメディ映画です。本作はピー・シー・エル映画製作所によって制作され、監督の伏水修にとって初の監督作品となりました。この映画は、豊富な歌唱や演芸のシーンを特徴とし、当時の新たなスタイルである「シネオペレッタ」と称されました。

ストーリーの流れ

この映画の中心に置かれているのは、円タクの運転手である皿野皿吉（藤原釜足）と彼の運転手仲間で、トンボが大の苦手な大野大助（岸井明）です。彼らはそれぞれの恋人、ヒロ子（神田千鶴子）とコナミ（宮野照子）とともに遊園地へ遊びに出かけます。しかし、楽しい遊園地での一日が、様々な騒動に発展することになります。

物語の中で、大助とヒロ子が偶然に吹き込んだレコードがレコード会社の社長（谷幹一）の耳に入ります。この社長は二人の才能に目をつけ、彼らを捜し出すために懸賞金をかけることにします。この出来事がきっかけで、ストーリーは多くの曲折を経て展開します。皿吉は懸賞金を獲得し、大助は歌手としての夢を実現させるための第一歩を踏み出します。物語はハッピーエンドで終わり、観客に明るい感情を残します。

音楽と歌唱

映画の中で岸井が歌う楽曲は、すべて当時人気のアメリカのポピュラー音楽です。代表的な曲として、「ダイナ」と「ザ・ミュージック・ゴーズ・ラウンド・アンド・ラウンド」があります。岸井はこれらの楽曲を日本語で歌い上げ、特に「ザ・ミュージック・ゴーズ・ラウンド・アンド・ラウンド」は映画のタイトルとも一致する「唄の世の中」として録音されました。この音楽の選定が映画に重要なエッセンスを与え、観客に楽しい印象を与える要素となっています。

スタッフとキャスト

『唄の世の中』の制作には、以下のスタッフが携わりました。監督は伏水修、脚色を伊馬鵜平が担当しました。原作は穂積純太郎が手がけ、撮影は宮島義勇、音楽は鈴木静一、美術は山崎醇之輔、録音は金山欣二郎が行っています。

主演キャストには、皿吉役の藤原釜足、大助役の岸井明、ヒロ子役の神田千鶴子、コナミ役の宮野照子が名を連ねています。また、吹込係の夢野を御橋公が、チェリー・レコード社長を谷幹一が、ブローカー役を瓣公が演じています。

まとめ

『唄の世の中』は、1930年代の日本におけるコメディ映画の一つで、歌や演芸が豊富に盛り込まれた楽しい作品です。観客に笑いを提供するだけでなく、音楽の楽しさも感じさせてくれる魅力的な映画となっています。この映画を通じて、当時の文化や流行を垣間見ることができるでしょう。

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