宮島義勇

宮島義勇の生涯と業績

宮島義勇（みやじま よしお、1909年2月3日 - 1998年2月21日）は、撮影監督として日本映画界に多大な影響を与えた人物です。長野県の高山村に生まれ、東京都で育った彼は、学生時代からアナキズムなどの左翼思想に傾倒していました。1929年に横浜高等工業学校を卒業し、その年の内に松竹蒲田撮影所に入社。現像技術を学んだ後、1931年に増谷麟が設立した写真化学研究所（P.C.L.、現在の東宝）へ移籍します。

撮影部に異動した彼は1936年に映画『唄の世の中』でそのキャリアをスタートさせ、1940年の『燃ゆる大空』がきっかけとなり、急速に知名度を上げました。この頃、国の方針に沿った国策映画や反米映画にも携わり、日本映画カメラマン協会の書記長としても活動。1945年12月には東宝従業員組合を結成し、争議のリーダーとして知られるようになります。

1948年には東宝を自主退社後、日本共産党に参加。レッド・パージでの弾圧時には、中国に渡航し、共産党の指導者への伝言を持ち帰るなど積極的に活動していました。1951年には監督の今井正の復帰作『どっこい生きてる』で撮影指揮として映画界に戻り、以降も様々な独立映画に参加し、その成功を支えました。

特に、小林正樹監督とタッグを組んだ『人間の條件』（1959年、1961年）や『切腹』（1962年）、『怪談』（1965年）などの作品は、国内外で高い評価を受けました。また、俳優とのコラボレーションにも恵まれ、田中絹代監督の『お吟さま』（1962年）や、萬屋錦之介との『赤穂城断絶』（1978年）、『仕掛人梅安』（1981年）に参加しました。

ドキュメンタリー制作にも熱心で、1963年の北朝鮮を取材した『チョンリマ（千里馬）』や、安保闘争を記録した『怒りをうたえ』三部作を監督しました。また、1980年代からは国鉄千葉動力車労働組合の取材をライフワークとして盛んに行い、『俺たちは鉄路に生きる』などを制作。1963年には碧川道夫・内田吐夢とともに「碧川映画科学研究室」を設立します。

1998年2月21日、89歳で亡くなった宮島義勇は、その生涯で60本以上の映画を撮影。同時に、撮影技師による照明への指示・注文を行う手法を確立し、現代の「撮影監督」という職業の基盤を築きました。また、その毒舌と技術力に裏打ちされた撮影理論が評価され、「天皇」や「ミヤテン」と称される存在となりました。大映京都撮影所の宮川一夫と並び称され、「西の宮川、東の宮島」とも呼ばれることもありました。彼の業績は、日本映画史において重要な位置を占めています。

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