唐箕

唐箕（とうみ）とは

唐箕は、籾殻を除去した後に穀物を選別するために使用される農具で、主に風力を利用して穀物を選り分ける役割を持っています。脱穀された穀物から、籾殻や塵を取り除くために、その構造が工夫されています。

構造

唐箕の内部には四枚の羽が設置されており、ハンドルを操作することでこれらの羽が回転します。穀物は唐箕の上部にある漏斗から少しずつ落下し、そこに側面から風が送り込まれます。この風により、軽い藁屑や実のない籾が吹き飛ばされ、重い穀粒だけが手前に集まる仕組みになっています。これにより、選別効率が大幅に向上します。

歴史

中国での発明

唐箕の原型は、紀元前200年から紀元後200年にかけて中国で発明されたとされています。それ以前からも、高所から脱穀物を落とし、風力で比重によって選別する手法が存在していましたが、唐箕はこのプロセスを機械化したものです。当初は開放型でしたが、後に羽根を収めた密閉型へと改良されました。北宋時代の詩人梅尭臣の詩から唐箕の存在が示唆されていますが、具体的な形状は不明で、王禎の『農器図譜』には密閉式の唐箕の図が描かれています。さらに、宋応星の著書『天工開物』では、開放型と密閉型の両方の唐箕が詳細に説明されています。

日本への伝来

日本には17世紀後半に唐箕が伝わったと考えられており、最初に文字で記述されたのは1684年の佐瀬与次右衛門の『会津農書』です。また、1712年に発表された寺島良安の『和漢三才図会』には具体的な図が収められていますが、北陸地方の土屋又三郎の『耕稼春秋』には唐箕についての記載はなく、唐箕の使用はこの時期から始まったとされます。

種類

唐箕は東日本型と西日本型に大別されます。

• - 東日本型: 正方形に近い形状で、選別の吐出口が裏と表に分かれており、脚部は多脚、漏斗部は舟形です。また、古いタイプは分離機能がなく、穀物の落下調整を側面で行います。

• - 西日本型: 横長で、選別の吐出口が全て正面に位置し、脚部は4脚。漏斗部は分離できる構造で、穀物の落下調整は正面から行います。

その他にも、東北型半唐箕や近畿型半唐箕、奥三河型のX脚型唐箕など、唐箕にはさまざまなバリエーションがあります。

現代における唐箕の役割

農業機械の発展が進んだ今日でも、唐箕は重要な意味を持ち続けています。コンバインの脱穀機の一部を唐箕と呼び、そのラジアルファンは唐箕ファンとして知られています。唐箕は、伝統的な農業手法を引き継ぐ重要な道具であり、風力を利用した選別技術の象徴として、今も多くの農家に利用されています。

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