善信尼

善信尼についての詳細

善信尼（ぜんしんに）は、574年に生まれた6世紀半ばの仏教尼であり、記録に残る日本初の留学生として知られています。彼女は名を嶋（しま）といい、父は司馬達等という重要な人物でした。善信尼は仏師の鞍作止利の叔母にあたります。また、彼女は恵善尼や禅蔵尼と共に日本で最初の尼僧の一人として出家し、仏教の発展に大きく寄与しました。

日本の初期の僧尼

善信尼は、584年に高句麗の僧でありながら当時還俗していた恵便を師として出家し、「善信尼」と名乗りました。この時、彼女はまだ11歳であり、男女を問わず日本で初めての出家者の一人とされています。仏教は当時、他の時代に弾圧を受けていたため、善信尼の出家は蘇我馬子の仏教復興の方策の一環として行われたものでした。善信尼と彼女の仲間たちは、馬子の保護のもとで、池辺氷田や司馬達等から生活の支援を受けることができました。

この年、蘇我馬子は自邸の東側に仏殿を築き、弥勒菩薩の石像を安置しました。そして、善信尼たちはそのお披露目の法会に招かれました。僧尼をもてなすことは仏教において非常に重要であり、馬子たちは善信尼らを深く敬いました。さらに、蘇我馬子は翌年、仏塔を建設し、再度法会を行なったのです。

仏教に対する弾圧

ところが、仏教を拝んだことによる疫病の流行を受けて、物部守屋と中臣勝海は天皇に対し、仏法を断つよう求めました。その結果、彼らは3月1日に天皇の詔勅を得て、善信尼を拘束し、彼女の袈裟を取り上げ、さらには鞭打ちの刑に処しました。しかし、蘇我馬子は自らの病を治すために三宝（仏、法、僧）の力が必要だと訴え、天皇は馬子にだけ仏法の実践を許可しました。これにより、善信尼らに対する禁固状態は解かれ、馬子は彼女たちを歓待し、新たに精舎を建設して住まわせました。

百済への留学と帰国

敏達天皇が亡くなると、次の用明天皇は仏教に好意的でした。587年、善信尼は「出家の道を戒を基にしたい」と馬子に告げ、百済へ向かい戒法を学ぶことを希望しました。馬子は百済の使節に依頼し、使節は帰国後に国王に伝えると約束しました。その後、物部守屋が滅ぼされ、仏教の普及が国家政策になると、588年に善信尼らは百済の使者と共に百済へ渡り、そこで学問を修めました。591年には桜井寺に住居を構え、彼女の活動は日本の仏教の歴史に深く刻まれました。

善信尼は、日本における仏教の発展と復興において重要な役割を果たした人物として、その功績は今でも語り継がれています。

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