嘉峪関

嘉峪関：万里の長城最西端の要塞

嘉峪関は、中国甘粛省嘉峪関市に位置する、万里の長城の西端に位置する関所です。山海関と並び、万里の長城における重要な拠点であり、中国の5A級観光地にも認定されています。

概要

周囲733mを高さ11mの城壁が囲み、その内部は33,500平方メートル以上の広さを誇ります。城壁は黄土を突き固めた版築で作られ、西側部分は煉瓦で積み上げられています。東西にはそれぞれ楼閣（門楼）と甕城を備えた城門があり、東を光化門、西を柔遠門と呼びます。西門には「嘉峪関」と記された扁額が掲げられています。関の南北は万里の長城と繋がり、城壁の隅には櫓が設けられています。2つの門の北側には、関の最上部へ上るための通路が設けられています。嘉峪関の防御設備は、内郭、外郭、堀の3つに大別できます。

万里の長城に繋がる関所の中で、建設当時の姿をほぼそのまま残している唯一の建造物です。最東端に位置する山海関が「天下第一関」と呼ばれるのに対し、嘉峪関は「天下第一雄関」と称されています。東西のシルクロードにおける重要な拠点の一つであり、周辺には敦煌莫高窟のような著名な史跡が点在し、数多くの漆喰壁画が発見されています。

地理

嘉峪関は、嘉峪関市の南西6km、河西回廊の西端に位置する最も狭い場所にあります。ここは2つの丘に挟まれた土地であり、その一つが嘉峪山です。城壁の一部はゴビ砂漠を横切っています。

嘉峪関から西へ7.5kmの地点には、万里の長城の端があり、目の前は断崖絶壁となっています。眼下には討頼河が流れています。1980年代までは、ここが万里の長城の西端であると考えられていましたが、1990年代以降、さらに西方に歴代王朝が築いた長城に関する遺跡が発見されています。

歴史

嘉峪関の建設にまつわる伝承があります。設計者が算出した煉瓦の必要数に、予備として1枚を追加して建設を開始したところ、完成時には正確に1枚だけが余ったというのです。その余った煉瓦は現在、門の上に残されており、建設の精確さを今に伝えています。

明代初期の1372年（洪武5年）に建設された後、ティムール軍に対する防衛の必要性から関の防備は強化されました。しかし、ティムールは東進を開始する前に死去したため、実際に攻撃を受けることはありませんでした。

1495年（弘治8年）：内城に光化楼と柔遠楼が建設され、同時に官庁や倉庫などの付属建造物が修築されました。
1539年（嘉靖18年）：城壁上に碉楼や角楼が増築され、両翼の長城や烽火台などが修築されました。

関連項目

長城
城郭
* ソグド人：シルクロードの商人

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