嘉手納清美

嘉手納清美：沖縄の風を背に、女優・歌手・経営者として輝いた生涯

嘉手納清美（かてな きよみ、旧姓：前田、1946年9月11日 - ）は、日本の元女優、歌手、そして経営者である。沖縄舞踊を特技とし、俳優の工藤堅太郎を元夫に持つ彼女は、数々のテレビドラマや映画で活躍した1960～70年代を代表するタレントの一人だ。

東京新宿で育ち、沖縄の文化を胸に

東京都新宿区に生まれた嘉手納だが、そのルーツは沖縄にある。両親は戦後、新宿歌舞伎町で沖縄料理店「南風（なんぷう）」を創業。草分け的存在として知られるこの店で、嘉手納は家族と共に2階で生活を送った。この環境が、彼女の人生に大きな影響を与えたことは想像に難くない。沖縄の文化や伝統は、彼女の個性と表現力に深みを与えたものと思われる。

多彩な才能を開花させた芸能活動

目白学園高等学校卒業後、1963年、NHKドラマ『金の砂』で女優デビューを果たす。その後、『バンパイヤ』や『おひかえあそばせ』といった人気テレビドラマに次々と出演。大映と契約し、数々の映画作品にも出演するなど、1960年代後半から1970年代にかけては、映画とテレビドラマの両分野で活躍の場を広げていった。

特撮番組への出演も記憶に残る。円谷プロダクション製作の『ウルトラセブン』ではサロメ星人（女）役で怪演をみせ、第46話では水着姿を披露して話題を呼んだ。また、『ミラーマン』にも出演するなど、幅広いジャンルで高い演技力を披露している。

女優業のみならず、歌手としても才能を発揮。1963年には東芝レコードから「沖縄恋歌」で歌手デビューを果たし、1963年には映画『警視庁物語 全国縦断捜査』の主題歌・挿入歌「星空の那須空港」「うるま育ち」も歌っている。

声優としての活動も経験しており、1971年のテレビアニメ『さすらいの太陽』では香田美紀役を演じたが、スケジュールの都合で平井道子と交代している。

第二の人生は家業の継承

1982年、女優業から引退後は、家業である沖縄料理店「南風」を2015年まで経営。メディアへの露出は少なくなったものの、2003年にはCS番組『ウルトラ情報局』にゲスト出演し、『ウルトラセブン』での思い出を語っている。

代表的な出演作品

彼女の女優としてのキャリアは実に幅広い。以下に、主な出演作品を列挙する。

テレビドラマ:
『ウルトラセブン』
『バンパイヤ』
『おひかえあそばせ』
『特別機動捜査隊』
『鉄道公安36号』
『大江戸捜査網』
『ザ・ガードマン』
『三匹の侍』
『銭形平次』
『素浪人 月影兵庫』
『ローンウルフ 一匹狼』
『キイハンター』
『五人の野武士』
『東京バイパス指令』
『素浪人 花山大吉』
『河童の三平 妖怪大作戦』
『怪奇ロマン劇場』
『プレイガール』
『おさな妻』
『ミラーマン』
『緊急指令10-4・10-10』
『太陽にほえろ!』
『バーディー大作戦』
『ロボット110番』
『刑事物語'85』 (方言指導)

映画:
『警視庁物語 全国縦断捜査』
『裸の青春』
『早射ち犬』
『爆弾男といわれるあいつ』
『命かれても』
『喜劇 駅前火山』
『集団奉行所破り』

テレビアニメ:
* 『さすらいの太陽』

まとめ

嘉手納清美は、女優、歌手、経営者として、多様な才能と持ち前の明るさで、華麗な人生を歩んできた。沖縄の文化を背景に持ち、東京で活躍した彼女は、時代を彩る多くの作品に出演し、日本のエンターテインメント史に確かな足跡を残したと言えるだろう。彼女の生き方は、現代社会においても、多くの人の心に響くものがあるだろう。

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