嚢瓦

嚢 瓦について

嚢 瓦（のう が、生没年不詳）は、中国春秋時代における楚国の有力な公族、政治家、軍人として知られる人物です。彼は姓が羋、氏が嚢、名が瓦で、字は子常とされています。また、彼は楚の荘王の子である公子貞（子嚢）の孫にあたります。

初期の政治活動

紀元前519年、嚢瓦は楚国の令尹の地位にありました。この頃、彼は郢都の城壁修復に携わっていましたが、沈尹戌との間で対立が生じました。この対立は、彼の政治的キャリアにおいて初めての大きな困難となりました。

紀元前516年、楚の平王が死去すると、嚢瓦は太子を廃し、公子申を新たな王位継承者として立てようと試みました。しかし、公子申は嚢瓦に対して激しい反発を示し、最終的に嚢瓦は太子を楚の昭王として即位させました。この一連の動きは、彼の権力掌握の難しさを物語っています。

権力闘争と対立

紀元前515年、嚢瓦は費無忌からの讒言を信じ、伯宛（後の伯嚭の父）を殺害しました。この行動は楚国の民衆の間に大きな不満を呼び起こし、嚢瓦に対する悪感情が高まりました。その結果、彼は沈尹戌の助言を受け入れて費無忌を殺す決断を下しました。この時期、嚢瓦の権力は強固に見えましたが、同時に彼の行動は多くの敵を創り出していました。

さらに紀元前509年、呉国への遠征を指揮しましたが、結果は惨敗に終わります。敗北の後、彼は紀元前507年に唐国内の成公および蔡の昭侯に賄賂を求めたところ、断られたため、彼は賄賂を求めた相手を幽閉しました。この行動により、唐と蔡の支援を失い、事態は更に厳しくなりました。

覇権の崩壊

紀元前506年、呉王闔閭は唐と蔡の連合軍を編成し、楚への攻撃を開始しました。柏挙の戦いで彼の軍隊は敗北を喫し、その結果、嚢瓦は鄭の地に逃れざるを得なくなりました。逃亡後、呉軍は郢に侵入し、嚢瓦の失政を痛感させるものでした。

逃げた先で、伍子胥が楚の昭王も鄭にいるとの疑念を抱くことになります。その状況が鄭の定公を脅かし、定公は嚢瓦を非難しました。最終的に、彼は責任を感じ自らの命を絶つことになります。これにより、彼の波乱万丈の生涯は幕を閉じたのです。

まとめ

嚢瓦の生き様は、権力の中での葛藤と敗北、そして最終的な自死という形で終わりました。彼の戦いと政治の中での決断は、春秋時代の複雑な権力関係を反映した重要な出来事であり、後の歴史に深い影響を与えました。

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