郢

郢（えい）について



郢は、春秋戦国時代において楚の首都として知られる名称であり、歴代の都城がこの名で呼ばれていました。地域の歴史を理解するためには、いくつかの異なる郢を区別する必要があります。これは、郢という名称が複数の場所に用いられたためです。

歴史的背景



楚は、時代に応じて都城を移転しており、各期において「郢」という名前が使用されました。この際、後世では時代や場所を識別するために、接頭辞が加えられることが一般的です。ここでは、楚の歴史における主要な都城として知られる郢を振り返ります。

  • - 丹陽: 周の成王の時代に設定され、初代君主の熊繹が封じられた場所です。丹江の北側に位置し、楚人の移住によって変遷しました。


  • - 鄀（鄀郢）: 昭王の時代に遷都。さらには郢に戻った地点であり、現在は湖北省襄陽市宜城市の南東部に位置しています。




  • - 寿春（寿郢）: 紀元前241年に遷都され、現在は安徽省淮南市寿県とされています。

紀南城遺跡



現在、湖北省荊州市荊州区には紀南城遺跡が存在し、この遺跡は国家重点文物保護単位として指定されています。学問的には、春秋時代後半から紀元前3世紀にわたって、楚はこの都市を郢と名付け、首都として運営したと広く信じられています。春秋左氏伝にも、文公14年（前613年）や昭公23年（前519年）の記録があり、これにより少なくともこの期間まで楚が首都としての建設を行っていたことが示唆されています。

また、遺跡内には春秋中期に起源を持つ構造物も見られるため、それ以前からこの地が郢と呼ばれ、首都だった可能性も否定できません。遺跡は荊州市の区内にあり、城壁はおおむね方形で、その周辺には当時の楚王族の墓所が点在しています。

参考文献



関連項目



郢は古代楚の重要な歴史的地点であり、その遺跡は現在においても多くの研究や考古学的発掘の対象となっています。

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