四冠馬

四冠馬：競馬における偉業

四冠馬とは、競馬において特定の4つの競走を制覇した競走馬を指す称号です。その定義は国や地域によって異なり、明確な国際基準は存在しません。一般的には、クラシック三冠競走に勝利した上で、さらに別の重要な競走を制した馬、あるいは牝馬が4つの主要なクラシック競走を制した際に用いられることが多い、いわば栄誉ある称号と言えるでしょう。

各国の四冠馬

日本

日本中央競馬会（JRA）では、3歳クラシック三冠（皐月賞、日本ダービー、菊花賞）に加え、有馬記念を制した3歳馬を「3歳四冠馬」と呼びます。この偉業を達成したのは、シンボリルドルフ（1984年）、ナリタブライアン（1994年）、オルフェーヴル（2011年）の3頭のみです。これら競走は、いずれも高いレベルの競争であり、その全てを制覇することは非常に困難です。

南関東公営競馬

南関東公営競馬では、2001年にトーシンブリザードが「南関東三冠」（羽田盃、東京王冠賞、東京ダービー）とジャパンダートダービーを制し、「四冠」と呼ばれました。これは、南関東における主要競走を制覇したという意味で、JRAの四冠とは異なる意味合いを持ちます。

岩手競馬

岩手競馬では、2007年に体系化された岩手三冠（阿久利黒賞、ダイヤモンドカップ、不来方賞）を制したセイントセーリングが、ダービーグランプリに挑戦しましたが、惜しくも2着に敗れ、四冠達成とはなりませんでした。このダービーグランプリは、馬インフルエンザの影響により地元馬限定の競走となっていました。

アメリカ

アメリカでは、クラシック三冠（ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークス）に、3歳馬限定のトラヴァーズステークスを加えた4競走を制した馬を「スーパーフェクタ」と呼びます。これは、アメリカ競馬における最高峰の称号の一つです。

アルゼンチン、ウルグアイ

アルゼンチンとウルグアイでは、それぞれ三冠競走に、古馬との対戦レース（アルゼンチンはカルロスペレグリーニ大賞、ウルグアイはホセ・ペドロ・ラミレス大賞）を加えた4競走を制した馬が四冠馬として認識されています。多くの名馬がこれらの競走を制覇し、歴史に名を残しています。

牝馬による四冠

牝馬がクラシック競走、またはそれに相当する5競走のうち4つを制した場合も、四冠と表現されることがあります。これは、牝馬にとって非常に高いハードルであり、達成例は多くありません。イギリスのセプターなどは、牝馬三冠に加え2000ギニーを制したものの、ダービーで4着に敗れたため完全制覇とはならず、五冠の達成例も現時点ではありません。

まとめ

四冠馬の定義は国や地域によって異なりますが、いずれの場合も、その馬の卓越した能力と、高い競争レベルを勝ち抜いた実績を示す名誉ある称号です。各国の競走事情や歴史的背景を踏まえると、四冠の偉業は、その国の競馬史において重要な位置を占めると言えるでしょう。 これらの四冠馬の記録は、競馬ファンにとって永遠の話題であり続けるでしょう。

もう一度検索