四季の森公園

神奈川県立四季の森公園

神奈川県立四季の森公園は、横浜市緑区と旭区にまたがる広大な県立公園です。都市公園として、自然景観を保護し利用を提供する風致公園の性格も併せ持っています。かつてこの地にあった里山の面影を今に残しており、貴重な自然環境の中で、多様な体験や学習ができる施設が整備されていることが大きな特徴です。

公園の成り立ちと概要

公園の所在地は、横浜市緑区寺山町と旭区上白根町に広がっており、管理事務所は緑区寺山町に置かれています。もともとこの土地は、神奈川県が住宅用地として取得を計画していましたが、豊かな天然林や清らかな湧水がそのまま残されている状況であったことから、その価値が見直され、公園としての整備方針に変更されました。1983年から段階的に整備が進められ、総面積は約45.3ヘクタールに及びます。そして、1988年4月1日に一部エリアが先行して開園を迎え、以降、市民に親しまれる緑の空間として発展してきました。

残された里山の自然と生態系

四季の森公園の最大の魅力は、都市部にありながら、昔ながらの里山の自然が色濃く残されている点です。園内には、開発を免れた貴重な天然林が広がり、そこから湧き出す水は、じゃぶじゃぶ池や湿地などを潤しています。この豊かな自然環境は、多種多様な生き物の営みを支えています。特に、夏の夜にはホタルの幻想的な光を観察できるスポットがあり、多くの人々を魅了します。また、園内の水辺ではカワセミが餌を捕らえる姿を頻繁に見かけることができ、野鳥観察を楽しむバードウォッチャーや、その姿を写真に収めようとする写真愛好家が多く訪れる場所としても知られています。

体験学習と市民参加の場

この公園は、単なる自然観察の場にとどまらず、自然と触れ合いながら学ぶことができる体験学習型の施設が充実しています。子どもたちが水深の浅い安全な場所で水遊びを満喫できる「じゃぶじゃぶ池」は、夏季の人気スポットです。また、里山の暮らしや文化を体験できる「炭焼き小屋」では、地元のボランティア団体が定期的に炭焼きの実演を行い、来園者にその工程を紹介しています。さらに、園内に設けられた田んぼでは、近隣の小学生たちが地域住民やボランティアの指導を受けながら、年間を通して米作りに挑戦しており、自然の恵みと農業の大切さを肌で感じています。これらの活動は、公園が地域のコミュニティと連携し、教育的な役割も担っていることを示しています。

多様な園内施設

広大な敷地内には、訪れる人々が思い思いに過ごせるよう、様々な施設やエリアが整備されています。

じゃぶじゃぶ池: 子どもたちが安全に水遊びを楽しめる人気の池。
はす池: 水面に映る景色や、季節には美しいハスの花を観賞できる静かな池。
あし原湿原: 湿地の独特な生態系を観察できるエリア。
ジャンボすべり台: 子どもたちに大人気の大型遊具。高低差を利用したダイナミックな滑り台。
炭焼き小屋: 里山の伝統的な炭焼きを見学、体験できる施設。
しょうぶ園: 初夏には色鮮やかなハナショウブが咲き誇り、訪れる人々の目を楽しませる。

これらの施設に加え、広々とした芝生広場や、森林の中を巡る散策路、休憩施設などが点在しており、家族でのピクニックや軽い運動、自然の中でのリラクゼーションなど、様々な目的に応じて楽しむことができます。

周辺環境

四季の森公園は、周囲の施設とも連携しながら地域全体の緑地空間を形成しています。約1キロメートルほど南西には、広大な敷地を持つ横浜動物の森公園が位置しており、合わせて訪れる人も少なくありません。また、公園の近隣にはショッピングセンター「横浜四季の森フォレオ」があり、買い物や食事にも便利です。さらに、公園に隣接する神奈川大学附属中・高等学校は、当公園と横浜動物の森公園に挟まれた位置にあり、学校の敷地内にも広い植林地を持つなど、周辺地域全体で豊かな緑が維持されています。

四季の森公園は、都市の中にありながら、貴重な里山の自然と触れ合い、学び、体験することができる貴重な緑地空間です。四季折々に変化する自然の表情は、訪れるたびに新たな発見と癒やしを与えてくれます。

もう一度検索