四方博

四方 博について

四方博（しかた ひろし）は、1900年1月2日に神戸市で生まれ、1973年5月13日に死去した日本の著名な経済学者です。彼の専門分野は朝鮮社会経済史であり、特に戦前から戦後にかけての研究活動によって、歴史に名を刻みました。

生涯

戦前のキャリア

四方は東京帝国大学経済学部を卒業後、同大学の助手として経済学の研究を進めました。1924年には京城高等商業学校の講師として朝鮮へ赴任し、以降の人生を通じて朝鮮の歴史と経済に強い関心を持ち続けました。経済学の研究を本格的に行うため、欧米へ留学した後、1926年には京城帝国大学に法学部が設立されるとその助教授に就任しました。この大学では、主に経済学第一講座を担当し、1928年には朝鮮経済研究所を設立。彼の活動は朝鮮経済の研究において非常に重要な位置を占めていました。1930年には教授に昇格しました。

戦後の活動

1945年に日本が第二次世界大戦から帰国した後、四方は1947年に愛知大学の教授に就任し、さらに名古屋大学法経学部の創設にも寄与し、名古屋大学経済学部の教授としても活躍。1952年には同大学の経済学部長を務め、1961年には岐阜大学の学長、1969年からは愛知県立大学の学長に就任しました。学問的な活動に加えて、1965年から1968年まで日本学術会議の会員に選出されるなど、幅広い活動を行いました。その一方で、彼は日朝協会愛知県連合会の初代会長や日本平和委員会の全国理事を務めるなど、左翼運動にも積極的に関与しました。

受賞・栄典

1971年には勲二等旭日重光章を受章し、その業績が認められました。

研究内容

四方の研究は、朝鮮社会経済史の黎明期において他の研究者とは一線を画すものであり、経済学部出身として朝鮮経済の様々な側面を探求しました。彼の研究は、資本主義の形成史、人口論、家族制度、地域慣習など多岐にわたります。特に、朝鮮の戸籍に関する研究で強い評価を受けています。彼が設立した朝鮮経済研究所では、朝鮮王朝の文書などを用いて豊富な資料を収集し、分析しました。

評価と批判

戦後の日本では、四方博は朝鮮植民地支配に対し消極的な立場を取ったことから「良心的な教授」として評価され、彼の研究は朝鮮社会経済史において顕著な業績とされています。しかし、韓国の研究者からは、彼が日本の侵略を正当化するような見解を示したとして批判されることもあります。彼の著作には「朝鮮における近代資本主義の成立過程」や「旧来の朝鮮社会の歴史的性格について」があり、朝鮮の経済や社会の停滞状態を論じ、日本の資本による近代化の必要性を強調しました。

家族

四方は、妻の四方れい（旧姓佐々木）とともに家庭を持ち、息子は児童文学作家・劇作家のしかたしん、娘は栗本伸子で、四方博文庫の蔵書寄贈者となっています。

結論

四方博は、朝鮮社会経済史の研究に多大な影響を及ぼした学者であり、その業績は歴史や社会に対する深い考察を提供しました。彼の仕事は、経済学の発展に貢献し、後世にわたって議論を呼ぶものであり続けています。

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