家族制度

家族制度とは

家族制度とは、家族の在り方を法や慣習などの規範によって規定したものを指します。フリードリヒ・エンゲルスが『家族・私有財産・国家の起源』で明らかにしたように、財産や職業などを世襲する目的で制定されたものが多いです。

中国・朝鮮半島の家族制度

中国や朝鮮半島の家族制度は、父系の子孫の存続を目的とする傾向が強いです。その背景には、祖霊信仰が深く根付いていることが挙げられます。祖霊信仰においては、父系で血の繋がった子孫による祭祀が重要視され、子孫が絶えれば祖霊があの世で祭祀を受けられなくなると考えられていました。

女性は、結婚しても元の一族に所属し、その子孫の一族には所属しないため、日本では旧姓を名乗るような形になります。また、祖霊信仰を絶やせば、祖霊から祟られる恐れがあるとして、ある王朝を滅ぼしても、その王室の祖霊信仰を行う最小限の子孫を残すことが行われました。

日本の家族制度

江戸時代以前

江戸時代以前の日本では、儒教の影響が強い中国や朝鮮半島と比較すると、家族制度は比較的緩やかでした。強固な家族制度を有していたのは、武家や公家といった一部の階層に限られていました。

明治時代

明治時代に入り、近代法体系を整備する過程で、庶民にも男系重視の家族制度（家制度）が導入されました。旧民法下の家制度では、男系の子孫を存続させることが重要な目的とされ、母親よりも長男の地位が高いという特徴がありました。これは、武家や公家に限られていた江戸時代以前の家制度を、全国民に拡大したものでした。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後に制定された日本国憲法では、結婚の在り方を「両性の合意のみに基づき」と規定し、男系の子孫の存続を目的とした家制度は否定されました。これにより、家族のあり方は大きく変化しました。

戦後、事実婚と呼ばれる関係も存在します。これは、結婚の私的性格を重視し、家族の在り方を規範で規定されることを拒否する考え方に基づいています。

まとめ

家族制度は、社会の構造や価値観を反映して変化してきました。時代とともに、家族の形やその意義も多様化しており、今後もその変化から目が離せません。

参考文献

「家族」（現代書館、1985年（昭和60年））

関連項目

儒教
氏族
本貫
家制度
門中

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