四谷本塩町

四谷本塩町（よつやほんしおちょう）について

四谷本塩町は、東京都新宿区の南東部に位置する町名です。住居表示が実施されており、靖国通りや外堀通りに面したエリアにはオフィスビルが立ち並びますが、通りから離れると住宅地が広がっています。この町は、歴史的な背景と現代的な要素が混在する魅力的な場所です。

地理

四谷本塩町は、新宿区の南東部に位置しています。北部は靖国通りに接し、東部は外堀通りやJR線路によって千代田区と区切られています。南部は四谷一丁目、西部は四谷坂町や四谷三栄町に隣接しています。主要な通り沿いはオフィスビルが目立ちますが、内側に入ると閑静な住宅街となっています。

歴史

この町の歴史は、1943年に市谷本村町の南西部、市谷七軒町、四谷塩町一丁目が合併してできた合成地名に始まります。市谷本村町は、かつて牛込区に属していましたが、一部が四谷区に編入されました。2016年には、四ツ谷駅前再開発に伴い、旧四谷塩町一丁目の区域が四谷一丁目に編入されました。

この地域には、かつて高力家旧邸に由来する「高力松」という名木がありましたが、東京大空襲で消失しました。また、雪印乳業本社付近には、太田道灌が物見に上ったとされる椎の老樹があり、「椎の木横町」と呼ばれていました。この椎の木は保存運動を経て、一時的に本社入口に移植されましたが、現在は明治公園中央に移されています。さらに、町内には白川資長子爵邸や小泉策太郎邸、戦後には能楽師の邸宅なども存在しました。外堀通り沿いには大型旅館「祥平館」があり、その「無用階段」はトマソン1号として知られていました。

再開発に伴う発掘調査では、江戸時代の庶民生活を窺わせる麹の醸造に使われた地下室などの遺跡が多数出土しました。四谷塩町一丁目の「人別帳」などの古文書も残っており、文献史学と考古学の両面から江戸時代の暮らしを研究できる貴重な場所となっています。また、町会には大正時代に作られた大神輿があり、須賀神社の宮神輿として使われていましたが、後に町会に返還されています。

2017年9月19日、本塩町は「四谷本塩町」に改称され、住居表示が実施されました。

世帯数と人口

2023年1月1日現在、四谷本塩町の世帯数は342世帯、人口は508人です。

学区

区立小中学校の学区は以下の通りです。

小学校: 新宿区立四谷小学校
中学校: 新宿区立四谷中学校

交通

町内には鉄道駅はありませんが、南西方向に四ツ谷駅があります。かつては都電の停留所「本塩町」がありましたが、廃止されています。また、外堀通りにはバス停がありましたが、こちらも現在は廃止されています。町内の靖国通り沿いには「防衛省前」のバス停があります。

事業所

2021年の調査によると、町内には114の事業所があり、4,237人の従業員が働いています。

主な施設

雪印メグミルク本社
三陽商会本社
司法書士会館
帝国データバンク史料館
新宿区立本塩町地域交流館
新宿区立本塩町児童館
社会福祉法人日本視覚障害者職能開発センター

その他

郵便番号: 160-0003

参考文献

『本塩町十三番地由来記』(雪印乳業株式会社広報部, 1966年)
『江戸東京博物館史料叢書』シリーズ(江戸東京博物館, 1998年～2005年)
『東京都江戸東京博物館研究報告』第11号(2005年)

脚注

[注釈]、[出典]については、省略。

外部リンク

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