団結小屋

団結小屋とは

団結小屋とは、労働争議や社会運動の現場において、活動家たちが設営する半常設の拠点のことです。これらの小屋は、単なる宿泊施設としてだけでなく、闘争の司令部、情報発信の場、そして活動家たちの連帯を象徴する場所として重要な役割を果たしました。

団結小屋の役割

通常、労働争議や社会運動が発生すると、支援者たちはまずテントを設営し、そこを拠点として活動を始めます。しかし、闘争が長期化するにつれて、テントのような仮設の拠点では対応しきれなくなります。そこで、より安定した半常設の拠点として団結小屋が建設されるようになりました。

団結小屋は、近くの民家を借りたり、プレハブ小屋を建てたりして作られます。その名称は「〇〇現地闘争本部」とすることが多く、その闘争における司令部としての役割を担います。また、活動家たちが寝泊まりできる宿泊施設としての機能も兼ね備えており、長期戦を戦い抜くための重要な拠点となりました。さらに、団結小屋は、その闘争の意義を外部に伝えるためのプロパガンダの場としても活用されることがあります。

団結小屋が建設された土地が買収対象となった場合、その土地を共有化することで、買収に対抗する手段として用いられることもあります。このような場合、買収には交渉や行政代執行が必要となり、土地を取得した後も、団結小屋の明け渡しや撤去を求める裁判が行われることがあります。

成田空港問題と団結小屋

成田空港問題は、団結小屋が特に多く建設された事例として知られています。三里塚闘争を支援する新左翼は、成田空港の建設予定地やその周辺に数多くの団結小屋を設営しました。これらの小屋は、空港建設を阻止するための拠点としてだけでなく、飛行機の離着陸を妨害する目的も兼ねていました。

成田空港問題における団結小屋の特徴は、外観を鉄塔状にしたものが多かったことです。これは、飛行機の離着陸を妨害する意図があり、まるで城郭の櫓のような建築物でした。中には、高さ20メートルにも及ぶ鉄塔を備えた4層構造の団結小屋もありました。既存の公民館や空き家を再利用したり、古材を集めて建設された小屋もありました。

1971年の第一次・第二次代執行では、これらの団結小屋の排除が行われました。開港直前の1977年には、20近い新左翼党派が30か所あまりの拠点を構え、約110人の活動家が常駐していました。これに対し、日本政府は1978年に新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法（成田新法）を成立させ、団結小屋の規制に乗り出しました。成田新法では、規制対象となる団結小屋を「暴力主義的破壊活動者の集合場所」「爆発物等の製造・保管場所」「航空機妨害の場所」と定義し、政府は同法に基づいて多くの団結小屋を閉鎖に追い込みました。

団結小屋の撤去作業は、警察の機動隊や放水車、重機が投入され、新左翼は火炎瓶で抵抗するなど、激しい衝突を伴うものでした。空港敷地内には、未買収地の団結小屋が2019年現在も残存しています。また、三里塚芝山連合空港反対同盟が「団結道路」と呼ぶ道路は、成田市道となっています。

横堀要塞

横堀要塞は、1977年12月に建設が開始された、地下1階地上3階建ての構造物です。ここは長期戦に耐えうるように、浴槽やトイレ、ベッドなどが完備されていました。1978年2月には、航空法違反として機動隊が撤去に乗り出しましたが、反対同盟は再度鉄塔を構築しました。1979年には成田新法に基づく使用禁止命令が出され、その後、使用禁止命令の取り消しと損害賠償を求める裁判が行われました。2002年11月に、土地所有者の元反対派農民が土地を売却したことで、自主的に撤去されました。

北原派系の団結小屋

天神峰現地闘争本部は、反対同盟によって1966年に建てられた最初の団結小屋です。当初は木造平屋建てでしたが、後に鉄筋モルタル3階建てに増築されました。1989年に成田新法に基づき使用禁止となり、2011年に強制撤去されました。この小屋は、B滑走路の運用を妨げる原因ともなっていました。

その他の団結小屋

その他にも、木の根育苗ハウス、三里塚闘争会館、大清水団結小屋、木の根団結砦、東峰団結会館、菱田現地第一砦、岩山鉄塔など、多くの団結小屋が建設されました。これらの小屋は、それぞれ異なる団体が拠点として利用し、時には激しい攻防の舞台となりました。

岩山鉄塔

岩山鉄塔は、A滑走路を離着陸する飛行機を妨害する目的で建てられた妨害鉄塔です。高さは60メートルを超え、周辺の住民は、鉄塔撤去のための道路敷設を条件に全村移転を成功させました。この鉄塔は、開港前年の1977年に撤去されましたが、その後、跡地に岩山闘争記念館が再建されました。

熱田派系の団結小屋

労農合宿所は、1977年に開設され、後に横堀農業研修センターとして活動しました。横堀団結小屋は、現地権者の父親が反対運動のために提供した土地に建設されましたが、2012年に強制撤去されました。横堀現地闘争本部は、1982年に建設され、熱田派の拠点となりましたが、2017年に強制撤去されました。

横堀鉄塔は、空港用地内にあり、鉄塔内には彫刻家の金城実が制作した像が設置されています。

その他にも、プロ青同団結小屋、労活評団結小屋、横堀団結の砦、木の根ペンションなど、様々な団結小屋が建設されました。

団結小屋の現在

団結小屋は、その多くが強制撤去や自主撤去によって姿を消しましたが、その一部は現在も残存しています。これらの小屋は、当時の闘争の歴史を伝える貴重な遺産として、今もなおその存在意義を問いかけています。

団結小屋は、単なる建物を超え、社会運動における人々の熱意や連帯の象徴であり、その歴史は現代社会においても重要な教訓を与えてくれます。

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