王滝村

王滝村：御嶽山のふもとに広がる歴史と自然の村

長野県南西部、木曽郡に位置する王滝村は、霊峰御嶽山の雄大な自然に抱かれた静かな山村です。岐阜県と隣接し、西側には御嶽山がそびえ立つ、豊かな自然環境が特徴です。

木曽ヒノキと林業の歴史

王滝村は古くから林業が盛んで、特に品質の高い木曽ヒノキは日本三大美林の一つとして知られています。江戸時代からその伐採は厳しく管理されており、1970年代には1本10万円を超える高値で取引される高級材として珍重されました。伊勢神宮の建築材にも使用されるなど、その品質は広く認められていました。かつては、伐採されたヒノキを筏にして川を下る水運で上松町の製材所まで運搬していましたが、ダム建設により水運が途絶えた後は、木曽森林鉄道が重要な役割を担いました。この鉄道は木材の運搬だけでなく、村民の生活道路としても利用され、村の生活を支えていました。

御嶽山と災害

王滝村の歴史は、御嶽山と密接に結びついています。1979年の水蒸気爆発や、1984年の長野県西部地震による御嶽崩れなど、幾度となく自然災害に見舞われてきました。特に2014年の御嶽山噴火では、村の人口（当時859人）をはるかに超える58名の犠牲者が出ました。これらの災害は、村の社会経済に大きな影響を与え、村民の生活を脅かしました。2017年にはM5.7の地震が発生し、村は震度5強を観測、2018年には豪雨による土砂災害に見舞われています。

現在と未来

近年は、スキー場やキャンプ場などの観光施設の整備が進み、観光による地域活性化が試みられています。おんたけ2240スキー場（旧おんたけスキー場）は、かつて年間66万人を超える来場者を記録しましたが、近年は減少傾向にあります。しかし、御嶽山の雄大な自然や、歴史ある木曽森林鉄道の車両を動態保存する松原スポーツ公園など、観光資源は豊富です。

王滝村は、木曽谷で唯一、江戸時代のままの区域で形成された自治体でもあります。現在も、その歴史と自然を守りながら、持続可能な発展を目指しています。財政状況は厳しく、財政力指数は低い値を示しており、自治体運営には課題も多いです。しかし、村民の努力と、関係機関の支援によって、村は未来に向けて歩みを進めています。

行政と姉妹都市

村長は越原道広氏（2022年2月12日就任）。木曽広域連合に加盟し、愛知県東郷町と友好都市協定を、大府市とは都市間交流協定を締結しています。

交通とアクセス

鉄道は通っておらず、最寄りの駅はJR東海中央本線木曽福島駅です。木曽町生活交通システムの路線バスや、夏季限定の村営バスが運行されています。村へのアクセスは、木曽町からの県道256号御岳王滝黒沢線が主要な道路となっています。御岳スカイラインは、御岳湖から田ノ原記念公園に至る、標高差約1200mのワインディングロードで、自動車、オートバイ、自転車で通行可能です（冬季閉鎖あり）。

教育・施設

王滝村立王滝小学校、王滝村立王滝中学校（2022年度より休校）があり、中学校は木曽町立木曽町中学校に事務委託されています。その他、林野庁中部森林管理局木曽森林管理署、木曽警察署王滝村警察官駐在所、木曽広域消防本部消防団王滝村消防団などの施設があります。

観光と特産品

観光スポットとして、御嶽山、長野県立御嶽山ビジターセンター「やまテラス王滝」、おんたけ2240スキー場、おんたけ銀河村キャンプ場、田の原天然公園などが挙げられます。特産品は、百草、百草丸、朴葉巻き、すんき漬け、蕎麦、すんきそば、王滝かぶなどがあります。

まとめ

王滝村は、豊かな自然と歴史、そして温かい人情が魅力の村です。御嶽山を背景に、静かに時が流れるこの地で、自然の美しさや歴史の重みを感じることができるでしょう。厳しい自然環境や財政状況などの課題を抱えながらも、村民の努力と地域の連携によって、未来へ向けた発展を続けています。

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