玉置神社

玉置神社：大峰山系の霊峰に鎮座する古社

玉置神社は、奈良県吉野郡十津川村、大峰山系の霊山である玉置山の山頂直下に位置する神社です。古くから十津川郷の鎮守として崇敬を集め、修験道の霊場としても重要な役割を担ってきました。その歴史と文化、自然が織りなす荘厳な雰囲気が、訪れる人々を魅了しています。

歴史

玉置神社の創建は不詳とされていますが、社伝によれば、崇神天皇の時代に熊野本宮大社とともに創建されたと伝えられています。古くは玉置山山頂近くに露出する玉石を神体とする玉石社が起源とされ、山そのものが神奈備として崇拝されていました。中世以降、大峯奥駈道の宿として重視され、修験道の拠点として発展しました。江戸時代には、聖護院門跡の支配下に入り、別当寺院の高牟婁院が建立され、隆盛を極めました。しかし、明治時代の神仏分離により、仏教的な要素は排除され、現在の姿となりました。

祭神

玉置神社は、本殿に国之常立神、伊弉諾尊、伊弉冊尊、天照大神、神日本磐余彦命を祀り、その他、摂社や末社には、倉稲魂神、天御柱神、国御柱神、住吉大神、八幡大神、春日大神、迦具土神、速玉男神、高倉下神、大巳貴命、菊理媛神、大山祇神、役小角など、多様な神々が祀られています。

境内

玉置神社の境内には、本殿をはじめ、摂末社、社務所、神楽殿、絵馬殿、鐘楼など、歴史的価値の高い建造物が点在しています。特に、社務所および台所は、江戸時代末期に高牟婁院の主殿および庫裏として建てられたもので、国の重要文化財に指定されています。また、境内の杉の巨樹群は、奈良県の天然記念物に指定されており、樹齢数百年を超える巨木がそびえ立つ姿は圧巻です。

玉石社

玉置神社の奥の院とされる玉石社は、社殿や祠の類はなく、白い玉石に囲まれた中に、地中から一部が露出した黒い丸石を御神体としています。この黒い丸石は、神武天皇が神宝を置いて勝利を祈った場所とされ、また役行者や弘法大師が宝珠を埋めたという伝説も残されています。

宝冠の森

玉置山から南東方向に派生する尾根の先にある宝冠の森は、修験道における重要な行場の一つです。森林に覆われた岩峰の頂上には、磐座があり、大日如来が垂迹する聖地として崇められてきました。中世には大毘盧遮那嶽と呼ばれており、行基が経典や仏像を奉納したという伝承があります。

宿としての玉置神社

玉置神社は、修験道の修行者が宿泊する宿としての機能も持っていました。峯中路には、修法や勤行の場としての宿と、参籠施設としての宿があり、玉置神社は後者に当たります。中世には、大峯奥駈道の重要な結節点として、多くの修験者が訪れました。

山岳信仰遺跡としての玉置山

玉置山は、その独特な地形と植生から、古くから山岳信仰の対象とされてきました。枕状溶岩の露頭や巨樹群は、この地が霊地であることを示しており、玉石社や宝冠の森などの行場とあわせて、山岳信仰の遺跡として重要な意味を持っています。

文化財

玉置神社には、以下の文化財があります。

重要文化財：梵鐘、玉置神社社務所及び台所
奈良県指定天然記念物：杉の巨樹群
世界遺産：紀伊山地の霊場と参詣道（構成資産の一部）

祭礼

玉置神社では、以下の祭礼が執り行われています。

歳旦祭：1月1日
三柱社例祭：3月初午の日
出雲大社教玉置分教会 例祭：5月14日
夏越大祓式：6月30日
大日社祭：8月8日
例大祭：10月24日
年越大祓式：12月31日
* 除夜祭：12月31日


玉置神社は、歴史と自然、信仰が調和した神秘的な空間です。その奥深い魅力に触れるために、ぜひ一度訪れてみてください。

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