国後 (海防艦)

海防艦「国後」の概要

海防艦「国後」は日本海軍の艦船で、船名は国後島に由来します。この艦は、1939年から1940年にかけて建造され、当初は軍艦として扱われていましたが、1942年に海防艦としての位置づけに変更されました。「国後」は占守型海防艦の一つで、同型艦の中では2番艦にあたります。主に北東方面の海域で行動し、特にアリューシャン列島や千島列島周辺での任務に従事しました。

建造と配備の経緯

国後の建造は1939年3月に始まり、同年5月に進水、10月に竣工。この艦は清水利夫中佐が初代艦長を務め、その後も多くの艦長が指揮を執りました。用船の任務として、艦は舞鶴鎮守府に本籍を置きました。初めての任務は、太平洋戦争開戦前の哨戒任務でした。

戦歴

1943年7月にはキスカ島の撤退作戦「ケ号作戦」に参加。この作戦中には、軽巡洋艦阿武隈との衝突事故が発生し、他の艦も巻き込む多重衝突が起こりました。この事故は艦の行動を一時的に混乱させましたが、その後国後は任務を続けます。

海防艦「国後」は、1944年以降も北東方面での護衛任務や警戒任務に従事し、この期間にいくつかの戦闘に参加しました。終戦を迎えた際には北海道の地域にあり、戦後は復員輸送艦として第2復員省の管理下に置かれました。

復員輸送と座礁事故

国後は復員輸送の任務に切り替えられ、1946年にはビルマからの復員兵の輸送を担当しました。しかし、同年6月には静岡県御前崎で座礁し、艦は放棄される事態に至ります。救援のために駆けつけた駆逐艦「神風」も同じく座礁し、両艦はその後処分されました。

艦長の変遷

艦長には清水利夫中佐に始まり、久保田智中佐、北村富美雄中佐などが任命され、それぞれの艦長が艦の運用に寄与しました。特に戦局の変化に応じ、艦の役割や編成が変更される中で、艦長たちは重要な指導を行いました。

結論

海防艦「国後」の歴史は、太平洋戦争の中での艦の活動を通じて多くの経験と教訓を与え、艦自身が激動の時代に生きた証となっています。艦は終戦後もその役割を果たし続けましたが、最終的には静岡県での座礁事件によりその運命を閉じました。この艦の存在は、日本海軍の多くの艦艇の中でも特異な役割を果たしたことを思い起こさせます。

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