国本社

国本社の成立と活動

国本社（こくほんしゃ）は、大正後期から昭和初期の日本における右翼団体および政治団体であり、1921年から1936年まで活動していました。事務局は東京の麹町に位置し、平沼騏一郎が会長を務めていました。

起源と歴史

国本社の起源は田沼時代にまでさかのぼり、松平定信による提唱に始まります。明治維新の際には岩倉具視が「国本七箇条」を朝廷に献策しましたが、その後は社会主義や民本主義の影響を受け、新思想が台頭しました。この時代、東京帝国大学に結成された「新人会」は新たな思想の根幹となり、国本主義は衰退の道を歩みます。

1918年には、憲法学者の上杉慎吉や天野辰夫が「新人会」を反日本思想と見なし、興国同志会を結成。こうした流れから、弁護士の竹内賀久治や太田耕造が活動を開始し、1921年には機関紙『国本』の刊行を開始。その後、平沼騏一郎を会長に迎え、興国同志会は国本社に改称されました。

組織構成

国本社は国粋主義を掲げて設立されたため、政治活動に注力していました。設立当初から平沼の人脈を活かし、主要な会員には著名な官僚や軍人、学者、財界人が名を連ねました。副会長には東郷平八郎や山川健次郎がおり、官僚や軍人、学者など多彩なバックグラウンドを持つ人々が集まりました

平沼は1922年に大審院院長に就任、司法においても目立った影響力を発揮。1923年には関東大震災の混乱期に司法大臣に任命され、治安維持に関する重要な法令も交付しました。また、国本社の機関紙『国本』や『国本新聞』が広まり、会員は増加の一途をたどりました。

社会的な立場と影響

国本社は、1932年の五・一五事件後には全国に約20万人の会員を有する大きな組織に成長しました。しかし、その影響力が増すにつれ、既成政党からは警戒され、「一敵国」と見なされました。そのため、国本社は広範囲な支援を受けられない状況に置かれ、活動は厳しい貴族的な位置づけに置かれることが多かったのです。

さらに、1936年の二・二六事件では、国本社の会員たちが平沼または加藤内閣を画策しましたが、最終的にはそれが成功することはありませんでした。この事件の混乱の中で、平沼は枢密院の副議長を辞任し、国本社も同時に解散を余儀なくされました。そして、同年5月には思想犯に対する保護観察法が成立し、これもまた国本社の活動に大きな影響を与えました。

今日に至るまで、国本社は日本の右翼団体としての存在を歴史的に評価されており、部分的にはその影響を受けた現代の政治の動向にも影を落としています。国本社の活動は、一義的に国粋主義や保守的思想の深化に寄与し、昭和の初期の日本における重要な政治的動きの一部となりました。

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