竹内賀久治

竹内賀久治の生涯

竹内賀久治は、明治8年（1875年）に岡山県で生まれました。苦学の末、陸軍教導団に合格し、軍人としての道を歩み始めますが、上官との衝突が原因で退役。その後、麻布中学校の体操教師をしながら和仏法律学校（後の法政大学）の夜間部に通い、法律を学びました。

日露戦争には砲兵少尉として出征しましたが、病のため内地送還となり、軍隊を離れました。その後、法政大学に復学し、卒業。明治44年（1911年）に司法試験に合格し、弁護士としてのキャリアをスタートさせました。

政治活動と右翼運動

弁護士として活動する傍ら、竹内は政治活動にも深く関与していきます。雑誌に掲載した論文がきっかけで、平沼騏一郎と親交を深め、上杉慎吉に師事しました。そして、学生団体「興国同志会」の機関誌『国本』を創刊し、思想的な活動を展開しました。

大正9年（1920年）には、東京帝国大学助教授の森戸辰男が発表した論文を危険思想であると糾弾し、森戸事件を引き起こしました。この事件は、当時の社会情勢を反映し、大きな議論を呼びました。その後、興国同志会を基盤として、大正13年（1924年）に右翼団体「国本社」を設立し、中心人物として活動しました。国本社は、山川健次郎や東郷平八郎らを顧問に迎え、勢力を拡大しました。

法曹界での活躍

竹内は、弁護士としても重要な役割を果たしました。東京弁護士会から分裂する形で第一東京弁護士会が設立されると、竹内はそこに移籍。しかし、弁護士会内部の対立が激化したため、自らが中心となり法律研究団体「知新会」を率いて第二東京弁護士会を創立し、後に会長に就任しました。これにより、法曹界における竹内の存在感はさらに増しました。

法政大学との関わり

竹内は母校である法政大学にも深く関わりました。昭和8年（1933年）に起きた学校騒動の調停に尽力し、昭和11年（1936年）には常務理事、昭和17年（1942年）には学長、翌年には総長に就任しました。総長時代には、荒木貞夫や大川周明といった人物を重用し、学内の軍国主義化を推し進めたとされています。また、陸軍中将であった井上達三を予科長に任命するなど、大学の軍事色を強めました。

晩年

第二次世界大戦終戦後、竹内は法政大学総長排斥運動を受け、昭和21年（1946年）に辞任しました。同年11月18日、腸疾患により自宅で亡くなりました。葬儀は第二東京弁護士会の会葬として執り行われました。

竹内賀久治は、軍人、弁護士、教育者、政治活動家として、激動の時代を駆け抜けた人物です。その思想や行動は、現代においても様々な議論を呼んでいます。

著書として『特許法‐全‐』があります。

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