国鉄シキ150形貨車

国鉄シキ150形貨車

国鉄シキ150形貨車は、1941年8月に日本車輌製造支店で製造された特別な貨車です。60トンの積載能力を持つ落し込み式の大物車であり、製造されたのは3両、番号はシキ150からシキ152に振り分けられていました。この貨車は私有貨車として運用され、日本の鉄道省、後に日本国有鉄道（国鉄）に編入されました。

背景

第二次世界大戦中、資源の不足が深刻化する中で、石油を補うために石炭から液化石油を生産する計画が立てられました。この計画の一環として、北海道の滝川に北海道人造石油が設立され、新しい工場が建設されることとなりました。シキ150形貨車は、こうした人造石油の生産に必要な合成炉を、製造元から工場まで輸送する目的で開発されました。合成炉は三井造船玉野事業所で生産され、宇野駅と滝川駅間で多数の輸送が行われました。

車両の仕様

シキ150形の全長は17,120 mmで、アーチバー式の2軸ボギー台車TR20を4台装備しています。これにより合計8軸が構成され、貨物の安定した輸送を可能にしています。車両の設計は、2台の台車の間に枕枠を渡し、その上に魚腹形荷受梁を設ける独自の形状を持っています。合成炉は円筒状で、直径2,780 mm、長さ7,065 mmのサイズを有し、これを横倒しにして荷受梁に搭載しました。また、ブレーキにはKD203形が採用されています。

所有権の変遷

シキ150形の所有者は当初北海道人造石油であり、常備駅は滝川駅に設定されていました。1949年には、日本人造石油が、この貨車を所有するようになり、同年9月には滝川化学工業、さらに1952年6月には運輸機材が所有者に名を連ねました。1950年代初頭には、シキ150形をタンク車へ改造する計画が浮上し、実際にはシキ151がタキ300形タキ1305とタキ1306に改造されましたが、他の2両の改造は中止されました。

国鉄への編入と廃車

1954年1月30日、所有者が造機車輌と社名変更を行い、1957年度に国鉄がこの貨車を買い上げ、正式に国鉄貨車としての歴史を刻み始めます。シキ150形は1972年度に廃車となりますが、それまでの間、多くの合成炉を輸送する重要な役割を果たしました。

このように、国鉄シキ150形貨車は戦時下における特別な役割を果たした貨車であり、その歴史は日本の鉄道と資源戦略の一端を示す重要な存在でした。

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