国鉄シキ35形貨車

国鉄シキ35形貨車について

国鉄シキ35形貨車は、1960年12月28日に新三菱重工業によって製造された平床式の大物貨車です。この貨車は、35トンの積載能力を持ち、実際には2両が連結されて使用されることを想定して設計されました。具体的な車両番号はシキ35とシキ36であり、両車両は同社の私有貨車として運用されていました。

設計と構造

この貨車の全長は14,300 mmで、車体の長さは13,500 mmです。その形状は長物車に似ており、長尺の貨物を安全に運ぶための工夫がされています。実際、2両を連結して使用し、その間に貨物を渡しかけることができる設計になっています。

また、車体には曲線走行時の変位を吸収するための回転枕木が装備されており、この技術は満載時でも安定した走行を可能にしています。回転枕木は2箇所に心皿が設けられており、一方では荷重が35トン、もう一方では20トンの荷重条件での運用が可能でした。これは、貨物の種類や状況に応じて柔軟な運用ができるメリットとなっています。

台車にはベッテンドルフ式の2軸ボギー台車（TR41C）が使用されており、これにより機動性や運行安定性が確保されています。ブレーキに関してはKD254形が搭載されており、安全な運転をサポートしています。

主な運用とその後

シキ35形貨車は、特に化学プラントなどから出荷される長い貨物の輸送に主に利用されていました。そのため、工業用途において重要な役割を果たしました。このように特定のニーズに応じて設計された貨車は、当時の物流システムにおいて欠かせない存在でした。

その後、1965年2月24日に会社の合併により、所有者が三菱重工業に変わりました。特定の運行基地としては、糸崎駅が終始常備駅として指定されていましたが、その他の運用海域についての詳細はあまり記されていません。

残念ながら、この貨車は1984年1月31日に廃車となり、国鉄の貨車としての役目を終えました。長年にわたって運用された国鉄シキ35形は、その特異な設計と機能により、多くの物流を支えてきた重要な資産だったと言えます。

参考文献

• - 吉岡心平『大物車のすべて 下』（初版）ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 93〉、2007年5月1日。ISBN 978-4-7770-5200-4。
• - 貨車技術発達史編纂委員会 編『日本の貨車 -技術発達史-』（初版）日本鉄道車輌工業会、2009年4月30日。

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