国鉄シキ90形貨車

国鉄シキ90形貨車の概要

国鉄シキ90形貨車は、1960年に製造された特別な貨車であり、主に大きな貨物を運搬するために設計されています。この貨車は、合計4両が製造され、その内3両は日本国有鉄道（国鉄）の浜松工場で、残りの1両は東京芝浦電気（東芝）によって製造された私有のものでした。これらの貨車は、30トンの重量を運べる落し込み式大物車として位置付けられています。

車両の構造

シキ90形は、第二次世界大戦前に作られたシキ80形の設計を基にしています。特に特徴的なのは、魚腹形の台枠を持ち、長物車の構造を採用していることです。全長は11,800 mmで、車体本体の長さは11,000 mmとなっています。貨物をスムーズに積載するために、中央部には亀甲形の穴が設けられており、そのサイズは長さ4,800 mm、幅2,140 mmです。この穴を通じて貨物を落し込み、積荷を行います。

改良点

シキ90形では、前モデルのシキ80形と比較して一部の設計に改良が施されています。特に、落し込み穴の長さは300 mm延長されており、これは軸距を短縮した結果として台車の中心間距離が長くなったことが背景にあります。また、以前のモデルでは貨物支え用の横梁が強度不足から折損事故を引き起こすことがありましたが、シキ90形では最初から荷重を安全に支えられるように設計されています。

台車とブレーキ

この貨車には、ベッテンドルフ式2軸ボギー台車TR41Cが二基装備されており、これにより走行性能の安定性が確保されています。さらに、KD180形のブレーキシステムが搭載されているため、運転の安全性も高まっています。

使用目的

シキ90形貨車は、特に水圧鉄管などの重い貨物の輸送に使用されました。こうした大物の運搬は、鉄道網の発展において欠かせない要素であり、これらの貨車が果たす役割は非常に重要でした。

シキ91の配置と廃車

私有貨車として製造されたシキ91は、当初新芝浦駅に配備されましたが、1983年には浅野駅へ移転し、1984年には社名変更に伴い東芝が所有することになりました。しかし、同年の12月末には廃車となりました。また、国鉄所有の3両の貨車も1985年度から1986年度にかけて順次廃車となり、その役割を終えました。

参考文献

• - 吉岡心平『大物車のすべて 中』（初版）ネコ・パブリッシング（2007年4月1日）。
• - 貨車技術発達史編纂委員会 編「日本の貨車―技術発達史―」（2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊）。

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