国鉄チキ910形貨車

国鉄チキ910形貨車

国鉄チキ910形貨車（こくてつチキ910がたかしゃ）は、日本国有鉄道によって1970年（昭和45年）に製造された35トン積の貨車です。この貨車は特に長物輸送に対応した設計となっています。

概要

チキ910形は、従来の無蓋車や長物車で行われていた輸入原木の輸送の簡易化を目的に開発され、物資別適合貨車として注目されました。貨物輸送の効率化が求められる中、特定のニーズに応じたモデルが試作されたのです。

この貨車の特長として、片側には固定式の側柵が6本、着脱可能な側柵が2本の計8本が備わっています。また、車端の妻部には積荷の突き出しを防止するため、頑丈な妻板が取り付けられています。これにより、長物輸送時の安定性が向上しました。

技術的詳細

国鉄チキ910形の車体色は赤3号で、コロ軸受けが使用されている点も特徴です。寸法については全長が14,800 mm、全幅が2,790 mm、全高が3,475 mm、台車中心間距離が10,000 mmと、長物輸送に最適化されています。自重は17.0tで、換算両数は積車が4.0、空車が1.8となっています。

また、台車にはベッテンドルフ式の2軸ボギー台車TR213-1が搭載されています。このような技術的背景により、チキ910形は特定の用途において高いパフォーマンスを発揮しました。

生産と運用

本形式は日立製作所においてたった1両が試作されましたが、その後の量産は行われませんでした。これはニーズがトキ25000形の改造車であるトキ23800形によって十分に賄われたためです。実際にチキ910形は舞鶴港駅に常備され、原木輸送に利用されていました。

しかし、1983年（昭和58年）には除籍され、形式が消滅しました。これは時代の変化とともに輸送形態が進化し、需要が他の車両に移行したことを反映しています。

参考文献

国鉄チキ910形貨車に関する情報は、以下の文献から得られました。

• - 貨車技術発達史編纂委員会『日本の貨車 - 技術発達史 -』社団法人日本鉄道車輌工業会 2009年
• - ネコ・パブリッシング「レイルマガジン」
• - 「プロフェッサー吉岡の国鉄貨車教室」第55回 トキ23800形・チキ910形（2005年11月号、通巻266号）

関連項目

貨車技術の発展を知る上で、国鉄の車両形式一覧も合わせて参照すると良いでしょう。

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