国鉄トラ45000形貨車

国鉄トラ45000形貨車

国鉄トラ45000形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）が1960年（昭和35年）から製造した無蓋貨車です。第二次世界大戦前に製造された老朽化した二軸無蓋車の代替として、1963年（昭和38年）までに8,184両が製造されました。製造は、日立製作所、若松車輛、三菱重工業、飯野重工業、舞鶴重工業が担当しました。

概要

トラ45000形は、17トン積載の能力を持ちますが、容積の大きな貨物を積載する際には15トンを上限とする運用がされました。これを区別するため、車体には「コ」の記号が追加され、「コトラ」と標記されました。車体は、妻面がプレス鋼板、床板が6mm厚の鋼板を使用した半鋼製で、側面のあおり戸のみ木製でした。ただし、一部の車両では試験的に鋼製のあおり戸が使用されました。外部塗装は黒色で、二段リンク式の懸架装置を備え、最高速度は75km/hです。ブレーキ装置には、国鉄貨車で一般的なK三動弁を用いた自動空気ブレーキと、足踏みテコ式の留置ブレーキが搭載されていました。

構造上の課題と改良

寿命延長を目的として、床板と妻板を鋼製とした半鋼製構造を採用しましたが、鋼製床は釘打ちができないため積荷の転動防止が難しく、プレス鋼板の妻板も一度歪むと修復が困難という問題点がありました。そのため、後年、床板は木製に、妻板は平鋼板に改造されました。全鋼製のトラ55000形でも同様の問題が発生し、改良が施されたことから、トラ70000形では床に埋木を追加して積荷固定を容易にする対策がとられています。

これらの問題点はありましたが、バラ積みなど転動防止が不要な貨物輸送では支障がなく、トラ55000形やトラ70000形とともに二軸無蓋車の主力として活躍しました。後年の改造によって問題点は解消され、1984年（昭和59年）の国鉄ダイヤ改正後も使用が続けられ、一部はJRに引き継がれて継続使用されました。

改造

トラ43500形

1968年（昭和43年）には、17トン積の鋼板輸送用として11両が改造され、トラ43500形となりました。側面あおり戸が撤去され、4分割のスライド屋根と荷物固定用の枠が追加されましたが、1983年までに全車廃車となりました。

木床化改造（145000番台）

トラ45000形の鋼製床が転動防止を必要とする機械輸送に不向きだったため、1978年（昭和53年）から1981年にかけて、3回目の全般検査を終えた車両913両に対し、床板を木製に、妻板を補強入りの平板鋼板に交換する改造が行われました。この改造により、日常の保守が容易になり、積荷の転動防止も改善されました。改造された車両には、「原番号+100000」の基準で新たな番号が付与されました。

トロッコ列車対応改造

予土線で運行する「トロッコ清流しまんと号」のトロッコ車両として、1984年（昭和59年）に1両（コトラ152462）が改造されました。屋根と座席が設置され、妻面には廃車された気動車の部品を流用した貫通路が設けられました。外部塗装は黄かん色に変更され、国鉄時代はキハ52形、キハ55形、キハ58形などと併結して運行されました。JR四国に引き継がれた後は、キハ54形などと連結され、2013年には水戸岡鋭治氏のデザインにより「しまんトロッコ」としてリニューアルされました。

運用

1987年（昭和62年）の国鉄分割民営化時には、JR西日本に5両、JR四国に1両、JR貨物に39両の計45両が承継されました。2010年4月時点では、JR四国に1両、JR貨物に27両の計28両が在籍していました。JR四国ではトロッコ列車に使用され、JR貨物では配給物資や特殊貨物の輸送に用いられ、広島車両所では事業用車両として緑色に塗装された車両も存在しました。

参考文献

鉄道公報
『日本の貨車-技術発達史-』（貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年）
『よみがえる貨物列車』吉岡心平、株式会社学研パブリッシング、2012年
『RM LIBRARY245 無蓋車の本（下） -国鉄制式無蓋車の系譜-』吉岡心平、株式会社ネコ・パブリッシング、2020年
『貨物列車　機関車と貨車の分類と歴史がわかる本』高橋政士・松本正司 著、株式会社秀和システム、2011年

関連項目

国鉄の車両形式一覧
* 配給車

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